悪の教典 下 (文春文庫 き 35-2)

著者 :
  • 文藝春秋 (2012年8月3日発売)
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この作品は面白い!どこまでも異常で、常人には理解できない。貴志祐介さんはきっと普通であるのにサイコパス教師をリアルに創り出すのだから、表現力と取材力がすごいなと思った。

上巻の始まってすぐに蓮実聖司が毎朝ベランダに鳴きに来る2羽のカラスのうちの1羽を駆除するシーンがある。手の込んだ仕掛けで感電死させた。学校に頻繁に苦情を言いに来るモンスターペアレントの家の猫よけのペットボトルの中身を全て灯油に変えた、運に任せて太陽光で火災を発生させる為に…。度の過ぎたいたずらかと思ってたら火を放って確実に殺した。そこから色んな違和感が募るっていく。ただの人気英語教師ではない?!

全ての殺人に至る流れとその前後の無感情さ。日常の当たり前の事を当たり前にしたかのような言葉とユーモラスな表現。

下巻最後の三池崇史さんの「蓮実聖司を愛する者として」の解説ではこの作品の魅力が存分に語られている。ただの大量殺人、サイコパス教師でない、彼が彼らしく生きる場所を求めた結果だと。作品を誰よりも理解してるだろう映画監督の作品をすぐに観たいと思いました!

最後、蓮実が逮捕される時に下鶴刑事が感じた「こいつは、もう、次のゲームを始めている」が抜かりのない表現で好きです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年3月16日
読了日 : 2024年3月16日
本棚登録日 : 2024年3月3日

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コメント 5件

yukimisakeさんのコメント
2024/03/16

最後の表現良いですよね!
この映画で伊藤さんが海猿のイメージからこっちに変わりました笑

アンシロさんのコメント
2024/03/16

yukimisakeさん、
コメントありがとうございます。

早速映画を観ています。今半分ぐらい笑。
伊藤英明のピッタリ具合に感動しました。
海猿の爽やかさとかっこよさより
蓮実聖司の方がはまり役ですね!

映画のキャストもとにかく豪華で、
演技が上手で世界観にどっぷり浸れます。
3回観たのも納得 笑。

アンシロさんのコメント
2024/03/16

映画を観終わりました。
「次のゲームを始めている…」はやっぱり意味のあるセリフになっていたのですね!「to be continued」がとってもいい感じ(^^)
小説を読んでからでしたので細かい所まで理解できましたが、うまくまとめられてる作品でした。面白かったです(*^^*)

yukimisakeさんのコメント
2024/03/17

この作品はどっちも良いですよね!
林くんの演技が上手すぎてびっくりした記憶もあります(^^)
評価がすっぱり別れてますけど、個人的には凄く好きですので、アンシロさんもお好きなようで嬉しいですー♪

アンシロさんのコメント
2024/03/18

お恥ずかしながら林遣都さんを知らなかったのですが、今をときめく俳優さんだったのですね(^^)Wikipediaで調べて、大島優子さんと結婚されていたとは…笑。とても演技がお上手でした!

評価が分かれるのは映画だけではストーリーが少し分かりにくい部分があるのと、気持ち悪いとか怖いって感想を持ってしまうとそれ以上受け付けなくなるからでしょうか?
自分は原作も映画も面白くて、気に入ってます(*^^*)

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