裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち

著者 :
  • 太田出版
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感想 : 23

人間は2年ほどで、歯や心筋の一部などを除き、ほぼすべての細胞が入れ替わる。
だから身体上はほぼ別人に生まれ変わる。
誰に触れられたからと言ってもう別人だと思えてくる。

春菜は、友だちや恋人に知られたら、「汚いって思われる」という不安を繰り返し語った。

人に過去は必要なのか。過去が今を作るというのは本当か。今の認識を修正すば過去も変えられると思う。


このとき、春菜は和樹と別れることを決意した。春菜が別れ話を切り出すと、和樹は、「どうせ自分のところに戻ってくる」といった。春菜は和樹のいい方に心の底からうんざりして、「和樹をほうりなげた」。

和樹は四年間、春菜に客とセックスをさせて、そのお金で生活し続けてきた。その和樹との生活をとことん嫌だと思ったときに、春菜は和樹を捨てた。だが、その春菜をだれも受け入れることがないならば、春菜のそばにいることができるのは、すべてを知っている和樹ひとりしかいない。要するに春菜にとって和樹は、最後の保険のようなものなのだろう。だから春菜は、和樹のことを好きではないと思いながらも、和樹を切り捨てることはできない。

だからほんとうは、春菜を捜すことはできる。でもそれはやめておこうと私は思っている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年9月13日
読了日 : 2021年11月11日
本棚登録日 : 2021年9月13日

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