中学か高校の時ぶりに読み返しました。私が最も好きな本の中の一冊です。
知的に障害のある主人公チャーリーが現代科学により圧倒的な知性を得、またそれを失っていく過程で、人間関係や愛、喜びなど様々や感情について気づいていく物語です。
この本の第一の特徴はその叙述方法にあると思います。主人公の日記を媒介として、主人公の言語力の稚拙さとその成長をうまく表現しています。あとがきにもありますが、これを翻訳するのは大変だったでしょう。
私が障害(とくに知的障害)に興味を持つようになったのは、この本がきっかけだったことを思い出しました。そして、今考えてみるとチャーリーと同じような人生を歩んできたように思います。
(以下自分語り)
私は小学校、中学校と勉強をほとんどせずゲームやアニメばかりに熱中していました。そのため学校での成績は低く、周りに馬鹿にされて生活していました。しかし、思い返すと、そんないじられていた頃の生活は、みんなに愛してもらっていた気がします。
高校に入り急に勉強に目覚めました。世間一般に言う難関大学に合格することができました。しかし、この頃から自分の中にプライドと他者を下に見るクセが生まれ始めました。「自分は頭が良い、自分が一番だ」といった考えが先行してしまい他者への思いやりが欠けてしまっている気がします。
この本の中でもチャーリーは知性が高まるにつれて自分より頭が良くない人を下に見てしまうという表現があります。彼にそんな自分を重ねる中で、そんな自分の性格に嫌悪を抱くと同時に治したいと思いました。
自分のことばかりではなく、他者のことを、そしてその他者とのつながりを大事にして生きていきたいと思います。
知性を失うその瞬間まで、唯一無二の友人であったアルジャーノンの墓に花束を添えたいと思うチャーリーのように、周りの人を大切にしたいです。
- 感想投稿日 : 2020年7月15日
- 読了日 : 2020年7月15日
- 本棚登録日 : 2020年7月15日
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