アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)

  • 1149人登録
  • 4.17評価
    • (110)
    • (93)
    • (41)
    • (10)
    • (2)
  • 76レビュー
制作 : 小尾 芙佐 
  • 早川書房 (2015年3月13日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150413330

アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)の感想・レビュー・書評

  • 32歳になっても幼児なみの知能しかないチャーリィ・ゴードン。そんな彼に夢のような話が舞いこんだ。大学の先生が頭をよくしてくれるというのだ。やがて手術によりチャーリィの知能は向上していく…天才に変貌した青年が愛や憎しみ、喜びや孤独を通して知る人の心の真実とは?

    世界的名作として映像化もされた作品です。私もこういう作品があるということは知っていたけど、当時は興味が湧かず、手に取ることはありませんでした。

    名作というのは何年経っても人の心に残り、語られるものだと思います。
    最近、本作の紹介記事を見かけ、改めて読んでみた次第です。

    本作は、主人公チャーリィの日記という体で語られていきます。ただ、知能が幼児なみなので、序盤の文章は本当に読みにくい。句読点がなかったり、漢字の使い方が中途半端だったり。ただ、それでもチャーリィのひたむきさと言いますか、皆と仲良く過ごしたいという気持ちは伝わってくるのです。

    暫く読み進めると物語が動き出します。

    アルジャーノンと名付けられたネズミの知能を向上させた手術をチャーリィにも施すことになるのです。しかし、その時から天才となるわけではない。彼の記す日記の内容が少しずつ変化していき、そこから読者は彼の心境を伺うことができるのです。

    想像できますか?
    数ヶ月で幼児だった人間が数カ国語を扱い、学術論文の問題を指摘できてしまうような者となってしまう様子を。

    人が成長していく過程において、大切なものや失ってしまうもの、気づかない内に忘れてしまうもの。
    そういったものについて改めて考えさせられます。

    「あなたが想像しているより、世界や人は優しくないことに落胆しないで」

    術後に知能が向上していくチャーリィへ先生が言い聞かせた言葉ですが、私はこの言葉がとても辛かったです。

    そしてラスト。

    ネタが分かっていても作品の面白さが損なわれることはないと思いますが、ここでは触れません。是非ご覧いただきたいと思います。

    ただ、ラストに涙するという紹介には申し訳ないけど、私は涙しませんでした。ですが、とても切なく言いようのない気持ちにはなります。

    私の目頭が熱くなったのは、”あとがき”でした。

  • 終始、主人公チャーリィの一人称で展開される物語に心打たれる名作。とにかくこの演出が素晴らしい。

    冒頭から片言の文章で非常に読みづらく、「なんでわざわざ?」と首を傾げたくなったが、読み進めていく内になるほど納得の演出だと気づかされる。そして気づいた頃には、どのようなエンディングになるのか?自分はそのエンディングをどのような形で目撃するのか…、これらの輪郭がはっきりしてからは、胸が詰まる思いでページをめくることとなった。

    手術を受けたことにより天才と化したチャーリィは、格段に世界観が広がり、自らを客観視できるようになった。しかし、果たしてこれは彼にとって幸福だったのだろうか。全てを知ることが必ずしも幸せにつながるとは言えないと感じる。身近なことで言えばインターネットの情報やSNS。一昔前までは得ることのできなかった情報を、今では家にいながら簡単に入手できる。簡単に世界観を広げる手段を得た一方で、他人との比較から抜け出せなくなる危険性も孕んでいるように感じる。

    どこそこの国ではこんな生活をしている…、友人は結婚して子供がいて…、友人はどこそこに勤めていて…、あの人は海外で活躍していて……、そして自分は…?

    こんな比較の思考に囚われて、自らを不幸に貶めている人は多いのではないだろうか。

    チャーリィを見ていて思うことは、誰しも人生は不公平だが、幸せになる権利は公平だということ。チャーリィは世間一般と比して、神仏から授かったものは少なかったかもしれないが、その人生に幸福を感じていたのは確かだろう。その与えられた人生を人工的に歪ませることは、人間の傲慢以外の何者でもないように感じる。科学が発達した今日でも、人間ごときが踏み込んではいけない領域があるのではないだろうか。

  • 蔵書のハードカバーが見当たらず、文庫版を購入。
    最後まで読み通した者だけが得られる感動があります。
    本当の幸せとは?
    20年以上前に読んだきりなのに、今でも思い出せる一冊。
    名作です。

  • 大学で心理学を学んだ著者が1959年32歳のときに書いた小説。中篇でヒューゴー賞を受賞した後、長篇化してネピュラ賞を受賞した作品。『五番目のサリー』や多重人格者のノンフィクションである『24人のビリー・ミリガン』の出版も話題となった著者の不朽の名作。

    32歳の主人公チャーリイ・ゴードンは、生まれつき知的なハンディキャップがあり、3歳程度の知能ではあるが、どこか憎めない人を笑顔にしたり、暖かい気持ちにしたりするような素質をもっており、パン屋で単純な仕事をしながら生活をしていた。

    ある日、大学の教授たちの研究のための被験者として選ばれ、手術により頭を良くしてもらうことになる。当初の競争相手として選ばれたのは、彼の前に実験用のモルモットとされ、天才的な知能をもち迷路の道順を確実に覚えられる、白ネズミのアルジャーノン。

    手術後、徐々に頭がよくなっていくチャーリイは、アルジャーノンに対する気持ちの変化にはじまり、パン屋の仕事内容を新しく覚えたり、昇給したりすることにより、チャーリイに対する同僚の僻み妬みを感じたり、態度の変化を感じたりするようになる。

    今まで感じていた周りの人への尊敬が、その人たちの本心を知ることで怒りや憎しみを覚えていく。また、女性に対する性的な反応や愛などの感情も発達し、喜びや孤独を通して、普通の人が何年もかけて成長していくような心と体、知能の発達をたった数ヵ月の間に急激に経験していく。

    天才と変貌したチャーリイは、周りの人たちの感情や思いを察知するだけでなく、アルジャーノンの様子から自分の将来を予期するようになっていく。

    まさに人生の縮図を表したような小説で、大人になれば、子どものころは感じなかったような、他人の気持ちや本音を感じるようになり、大切にしたい人の存在により、愛情や幸福を知り、憎しみや嫉妬、孤独や寂しさも覚えていく。自分の心の変化を成長や成熟として捉え、いろんな感情が沸いてきたとき、自分を第三者的に見つめてみて、観察してみるのも楽しそうだなと思える一冊でした。

  • 全体が主人公の主観に基づく経過報告として、特に序盤、終盤で感情を抑えて描写されているので、より深く大きい感情の波を読み手に与える本です。読み終わって一呼吸して涙がブワーッと出てしまいました。繰り返し、また時間を置いて読みかえす本に加えたいと思います。

  • 攻殻機動隊に出てくるタチコマがよんでたので手にとってみた。
    間違いなく傑作の部類に入ると思います。訳も素晴らしいのだと思います。

    物語の内容は、捉えようによっては悲劇ともハッピーエンドともとれる。レビューで詳しくネタバレしません。とにかく読んで損することはない。

  • 東野圭吾の変身を彷彿させる。

  • 大学時代に読んで、今回二度目の読了。前回も確か電車の中で読み終わり、今回も電車の中で読み終わった。
    何度読んでも、きっと私は最後の3ページで泣く。部屋の中だろうと電車の中だろうと、人目もはばからずぽろぽろ泣く。
    無垢で、いつだって切実だったチャーリイの姿に揺さぶられた感情を、どう形容すればいいのか分からない。

  • あたまがよくなったら、せかいはすばらしくなるだろうか。

    きちんと読んだことがなかったので、手に取ってみました。大筋は知っていたけど、ああ、こういう結末なのか、と。手術をして、知能を手に入れることは、はたして彼の幸せにつながったのだろうか。周囲の人に“温かく”笑われつつ、自分にできることをしていた頃の方が、幸せだったのでは? また、それを決められるのは、本人だけでは? この物語を読んで、私はどのように答えを出せるだろう。

    答えは、著者の序文に書いてある。「わたしはチャーリィ・ゴードンです。」そう、誰もが「わたしはチャーリィ・ゴードン」である。誰もが、自分の知能の低さを恥ずかしく思ったことがあり、周囲より知能の高くなった自分を夢見たことがあり、そして、教養が人々の間に断絶を生むことを知っている。だから、教養を磨くと同時に、自分をあらゆる人に重ね、相手を思いやる心を育てなくてはならない。磨かれた教養は、自分の為ではなくて、誰かの為に使われなくてはならない。そうして初めて「チャーリィ・ゴードン」は幸せになれるだろう。

    読んでほしい。周囲との断絶を感じている人に、誰かを育て導こうとしている人に、世界を変えたいと思っている人に。

  • この本はダニエル・キイスさんが書いた物を小尾芙佐さんが翻訳したSF小説である.この本と出会ったきっかけは去年の春にこの小説を題材としたドラマが放送されてそのドラマをきっかけにこの本の存在を知り、興味がわいたため紹介することにした.この本のあらすじとしては、主人公はチャーリィ・ゴートン32歳の男性で、精神年齢は6歳のままの知的障がい者であった.チャーリィは精神遅滞者専門学校に通っていたが、教授たちから人間の知能を人工的に上昇させる脳手術の実験体として選ばれる.チャーリィはこの件を了承し手術を受けた.その結果手術前は幼児並の知能であったものが、天才ガリレオと肩を並べることができるほどの天才となった.だが知能の向上によってチャーリィは自分に行われた脳手術の欠陥を見つけてしまう.そのことに苦悩しもがいていく物語である.本を読んだ感想は、自分は天才じゃないので天才の考えることはわからない.だがもし自分がチャーリィの立場だったとしたらどのような行動をするかを考えながら読んでいくのが非常に楽しかった.一度読んでみることをお勧めする.

  • 王道、古典ですね。アルジャーノン的な人と言えば、読んでる人には通じる。悲劇とは思いません。心温まるファンタジー。

  • 知的障害を持ち子供のまま大きくなった青年ゴードンが、手術で人並み以上の知能を身に付ける話し。愛情のない知能に価値はないという言葉が印象的でした。また知的障害を持った子供を抱えた家族の苦悩も、辛さも伝わってきました。

  • 知的障害者のチャーリイが脳手術を受けて、人並み以上の知能を身につけるSF小説。
    それに伴って起こる様々な出来事、主人公の気持ちの移り変わり、周りの人間がチャーリイを見る目の変化などが巧く描かれていて、引き込まれる内容であり、色々と考えさせられた。
    果たして、チャーリイは、人並み以上の知能を身につけることで幸福になったのだろうか。賢くなったチャーリイが気づいたことは、周りの人間が以前の自分に対して持っていた底意地の悪さや、手術を担当した医師たちの愚鈍さや身勝手さだ。さらに、チャーリイ自身が、以前持っていた素朴な良さを失っていき、そのことを教師であり、愛するアリスから指摘される。
    チャーリイが勤めているパン屋の店員たちは、チャーリイを小馬鹿にしていたが、チャーリイの変貌ぶりに戸惑い、気味悪がる。人は能力で相手を判断して、上下関係を決め、自分より下位の者がいることで安心する。それが逆転するのは嫌なものだし、認めたくないのだ。
    しかし、能力がある人の方が本当に価値があるのだろうか。
    知的障害者のチャーリイに脳手術を受けさせ、人並みの知能を持たせようとする試み自体に、知的障害者は駄目な人間、社会にとってマイナス、という社会の認識があることが見て取れる。
    この作品を読んで、人並み以上の知能を持つチャーリイよりも、知的障害者のチャーリイの方がより好ましく感じた。
    冒頭の「日本語文庫への序文」の中で、作者は、共感する心が大事で、それがより住みよい世界を築く一助になると書いている。
    最後まで読むと、胸に熱いものが込み上げてくる感動作品。

  • 今月の2冊目。今年の14冊目。

    前々から読んでみたいと思っていました。考えさせられることではありましたが、後半部分がちょっとだれた感じがしました。そこが自分としては、おしいなと思いました。物語の内容・メッセージ性は本当にすばらしいです。帯に書いてありましたが、確かに高校生・大学生に読んでほしい1冊。

  • 古典的作品をついに読んでしまった!
    内容は・・・難しかったが・・・
    自分の知能が衰えていくのを自覚するのは、相当に辛いことだろう。

    主人公の知能の高さの変化に合わせて、文体も変わる。知能が高い時は漢字が多用され、難しい言葉も頻発する。知能が落ちてくると、ひらがなが増え、平板な言葉が多くなる。

  • 2016/8/13宝塚西図書館から借りた。

  • 何度か挑戦して挫折していた作品を読了。
    優しさというのはIQとは関係ないんだなぁと実感。
    最後の二つの段落がこの本の世界観を物語っていると思う。

    ーーーーーー
    以下引用
    ーーーーーー
    ついしん。どおかニーマーきょーじゅにつたいてくださいひとが先生のことをわらてもそんなにおこりんぼにならないよおに、そーすれば先生にわもっとたくさん友だちができるから。ひとにわらわせておけば友だちをつくるのはかんたんです。ぼくわこれから行くところで友だちをいっぱいつくるつもりです。

    ついしん。どーかついでがあったらうらにわのアルジャーノンのおはかに花束をそなえてやてください。

  • 最後の30ページ(たった10日間で起こったこと)を何度も読んだ。
    アリスに感情移入。
    もしわたしの愛する主人が、例えば病気になり、次第にわたしのことを忘れていったら…と思うと…
    知ることが幸せか、知らないことが幸せか。
    それはわからないが、知りたいという思いは希望だと思った

  • 2日で読了。読み始めるとあっという間だった。
    ラストシーンは感動したけど、ピュアな涙に暮れるには自分は年を取り過ぎたみたい。

    ハッピーエンドとは程遠い結末だが、それでもチャーリィはその時々に与えられた天稟の中で、ある時は持たざるが故に悩み、ある時は持つが故に悩みながら、それでも常に野心と希望を胸に抱き、向上への努力を怠らなかった。
    それは文明社会の尺度における個々の人間の優劣とは関係なく、一人の人間として尊い生き方であり、だからこそ全世界のあらゆる人々の共感を呼ぶのだろう。

    大昔まだ年端もいかぬ子供時代、親類縁者に「障碍者でさえ頑張ってるのだから、我々みたいな普通の人間が頑張るのは当たり前だ。だからお前も頑張れ。」と発破をかけられた(しつけられた)ことがある。良いこと言っているように聞こえて、その実イマイチ釈然としなかったのだが、本作を読んで数十年の時を経てようやく合点がいった。
    「健常者だから」「障碍者だから」ではなく、「人間だから」頑張らなければならないのだ。誰もがそれぞれの生きる舞台で、それぞれの戦いをして、それぞれの幸せを掴まなければならない。そこに優劣はない。他者に対する影響の大小はあっても。

    自分はチャーリーと比して恥じない志を持って人生に臨んで来ただろうか?と考えると、赤点とは言わないが、自身を持って及第点とも言い辛い。汗顔の至り。
    でも、末期の瞬間まで人間には未来があるのだし、これからの人生において少しずつでも高みを仰ぎ、脚を止めないようにしていきたい。

  • 再読。知的障害者への差別、知能が高いということが必ずしも良いこととは言えないこと…チャーリーたった1人の人生で、多くのことが伝わってくる話だった。終盤、切なすぎて泣きそうになった。

  • 名作中の名作。どんな小説のトリックよりも、この時代にこの技法を思いついたのは天才だと思う。

  • チャーリィの日記(経過報告)から話が始まる。読みにくい日記を読んでいるうちに本の世界にひきこまれていく。不思議な感覚だった。翻訳の方の試行錯誤がみられる。人の「賢さ」が「幸せ」をうむとは限らないこの事がこの小説の大きなテーマだと思う。
    知的障害を持つチャーリイは、

    賢さを求め、知能を得る。
    その人の心がどうあるか?
    知能を手に入れて失った物とは何か?
    知能のないチャーリイ(子供)は賢くなる(大人になる)につれて知能を得て、自立し、他の人への思いやりや愛情が薄れていってしまう...
    家族、友人や道ですれ違う人 さまざまな人に共感する、人の心を感じる、感情の面では子供の頃は純粋であったが成長し賢くなるにつれて、同時に愚かな考えを持つようになる。

    登場人物のチャーリイがその短い一生をかけて探していたモノは知恵でなく、人の心に寄り添って相手と同じ目線で気持ちを考える事、思いやりだと感じた。知恵をもって人の心を理解しようと苦悩する姿がせつない。
    いわずと知れた名作だが、改めて素晴らしい作品だと感じた。

  • 知的障害の人が手術を受けて、頭が人よりずっとよくなり、最後は結局手術の効果は長続きせず、同じ知的障害まで、知能が下がってしまう話でした。簡単に言えば3行で終わる話だけど、主人公の変化が報告書という形式で、ほとんど一人称で書かれています。心情や能力の変化がよくわかります。頭が良くなると同時に友人を失ったり、恋愛もうまくいかなかったり…

  • 儚く切ない運命に翻弄されるチャーリーとその周りの人々の生きた証を、息つく暇もなくあっという間に読了していました。

全76件中 1 - 25件を表示

アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)に関連する談話室の質問

アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)を本棚に「積読」で登録しているひと

アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)の-

アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)の単行本

アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)の文庫

ツイートする