アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)

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制作 : 小尾 芙佐 
  • 早川書房 (2015年3月13日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150413330

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アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)の感想・レビュー・書評

  • とても優しい魂を持つ人に出会いました。

    天才に変貌した青年が知ることとなった愛と憎しみ、喜びや孤独、醜い感情、そして人の心の真実。

    チャーリイの検査から手術、術後の経過報告を読者が読むという形で話が進むのが斬新だなと感じました。

    チャーリイの持つ純粋な心に、最後まで前向きな気持ちを持ち続けたことに胸を打たれました。
    アルジャーノンに起こった事態から、手術の副作用で自分がこれからどうなるのかということにチャ―リィが気付いてからは読むのがとても辛かったです。

  • 知的障害のチャーリイ(32歳)は、アルジャーノン(白ネズミ)の動物実験で成功した最先端脳手術を受けて、高い知能を得る。この力作のスゴいところは、全編が彼自身の日記で語られる点で、はじめのほうのひらがなだらけのたどたどしいにっきは、段々と漢字混じりの洗練された文章になっていく。ということは、もちのろん、障害者の視点で語られるとても重たい話でもある。友達と仲良く遊んでいた過去の記憶はじつはいじめだったと知る。子供の頃に虐待を受けて母親不信の彼は、恐怖で女性ともうまく付き合えない。そして同じく高度な知恵を得たはずのアルジャーノンが。。。総じて救われない話なんだけど、日記という主観的な形式なので、逆にそれぞれのエピソードを客観視できるのが秀逸。ハイライトは母親との20年振りの再会。家族の苦悩をここまで鮮烈に描いた作品はなかなかない。「ライ麦畑でつかまえて」を挫折した過去があって心配だったけど、斬新な文章構成にも助けられて、なんとか読了した。翻訳者の苦労と工夫に敬意を表する。チャーリイは最後の最後まで、おりこうさんになりたい、つまり知的向上心をもった人間として描かれる。議論があるとすればそこだろう、、障害の有無にかかわらず。

  • 大学時代に読んで、今回二度目の読了。前回も確か電車の中で読み終わり、今回も電車の中で読み終わった。
    何度読んでも、きっと私は最後の3ページで泣く。部屋の中だろうと電車の中だろうと、人目もはばからずぽろぽろ泣く。
    無垢で、いつだって切実だったチャーリイの姿に揺さぶられた感情を、どう形容すればいいのか分からない。

  • 32歳になっても幼児なみの知能しかないチャーリィ・ゴードン。そんな彼に夢のような話が舞いこんだ。大学の先生が頭をよくしてくれるというのだ。やがて手術によりチャーリィの知能は向上していく…天才に変貌した青年が愛や憎しみ、喜びや孤独を通して知る人の心の真実とは?

    世界的名作として映像化もされた作品です。私もこういう作品があるということは知っていたけど、当時は興味が湧かず、手に取ることはありませんでした。

    名作というのは何年経っても人の心に残り、語られるものだと思います。
    最近、本作の紹介記事を見かけ、改めて読んでみた次第です。

    本作は、主人公チャーリィの日記という体で語られていきます。ただ、知能が幼児なみなので、序盤の文章は本当に読みにくい。句読点がなかったり、漢字の使い方が中途半端だったり。ただ、それでもチャーリィのひたむきさと言いますか、皆と仲良く過ごしたいという気持ちは伝わってくるのです。

    暫く読み進めると物語が動き出します。

    アルジャーノンと名付けられたネズミの知能を向上させた手術をチャーリィにも施すことになるのです。しかし、その時から天才となるわけではない。彼の記す日記の内容が少しずつ変化していき、そこから読者は彼の心境を伺うことができるのです。

    想像できますか?
    数ヶ月で幼児だった人間が数カ国語を扱い、学術論文の問題を指摘できてしまうような者となってしまう様子を。

    人が成長していく過程において、大切なものや失ってしまうもの、気づかない内に忘れてしまうもの。
    そういったものについて改めて考えさせられます。

    「あなたが想像しているより、世界や人は優しくないことに落胆しないで」

    術後に知能が向上していくチャーリィへ先生が言い聞かせた言葉ですが、私はこの言葉がとても辛かったです。

    そしてラスト。

    ネタが分かっていても作品の面白さが損なわれることはないと思いますが、ここでは触れません。是非ご覧いただきたいと思います。

    ただ、ラストに涙するという紹介には申し訳ないけど、私は涙しませんでした。ですが、とても切なく言いようのない気持ちにはなります。

    私の目頭が熱くなったのは、”あとがき”でした。

  • 大学で心理学を学んだ著者が1959年32歳のときに書いた小説。中篇でヒューゴー賞を受賞した後、長篇化してネピュラ賞を受賞した作品。『五番目のサリー』や多重人格者のノンフィクションである『24人のビリー・ミリガン』の出版も話題となった著者の不朽の名作。

    32歳の主人公チャーリイ・ゴードンは、生まれつき知的なハンディキャップがあり、3歳程度の知能ではあるが、どこか憎めない人を笑顔にしたり、暖かい気持ちにしたりするような素質をもっており、パン屋で単純な仕事をしながら生活をしていた。

    ある日、大学の教授たちの研究のための被験者として選ばれ、手術により頭を良くしてもらうことになる。当初の競争相手として選ばれたのは、彼の前に実験用のモルモットとされ、天才的な知能をもち迷路の道順を確実に覚えられる、白ネズミのアルジャーノン。

    手術後、徐々に頭がよくなっていくチャーリイは、アルジャーノンに対する気持ちの変化にはじまり、パン屋の仕事内容を新しく覚えたり、昇給したりすることにより、チャーリイに対する同僚の僻み妬みを感じたり、態度の変化を感じたりするようになる。

    今まで感じていた周りの人への尊敬が、その人たちの本心を知ることで怒りや憎しみを覚えていく。また、女性に対する性的な反応や愛などの感情も発達し、喜びや孤独を通して、普通の人が何年もかけて成長していくような心と体、知能の発達をたった数ヵ月の間に急激に経験していく。

    天才と変貌したチャーリイは、周りの人たちの感情や思いを察知するだけでなく、アルジャーノンの様子から自分の将来を予期するようになっていく。

    まさに人生の縮図を表したような小説で、大人になれば、子どものころは感じなかったような、他人の気持ちや本音を感じるようになり、大切にしたい人の存在により、愛情や幸福を知り、憎しみや嫉妬、孤独や寂しさも覚えていく。自分の心の変化を成長や成熟として捉え、いろんな感情が沸いてきたとき、自分を第三者的に見つめてみて、観察してみるのも楽しそうだなと思える一冊でした。

  • 名前だけ知ってた名作をとうとう読破。

    幼児並の知能しか持たないチャーリー ゴードンは実験的に行われた脳の手術を経て通常より高いIQを手に入れた。
    術後、彼は望んだ通りに読書を楽しんだり、知識や自分の考えを言葉にする力を手にいれた。
    また、キニアン先生を通して異性を魅力的で愛したいと思う気持ちも持つようになった。
    しかし、代わりに自分が周りから蔑まれバカにされていた事実や、幼い頃のチャーリーに起こった母親からの仕打ちを自覚し傷つく。

    たぐいまれなる頭脳を後天的に持ったチャーリーの話を読み進めると、本当に怒涛の人生という感じで衝撃だった。

    知的障害者の視点に立って書かれた小説を読んだのは初めてだけど、ものすごく集中して読んだ。
    結構感化されて、読んでる間は感情的になり情緒不安定だったかもしれない。

  • 何度も挑戦しては挫折して、を繰り返していたが今回やっと読み終えた。
    後半は主人公に感情移入しすぎて辛かったが、読み終えて今の自分に必要な本だったなと感じた。前を向いて進む勇気をくれた。

    賢いとはどのようなことなのだろうか、幸せとはなんなのか、今一度考えてみたくなった。

  •  名作と知りながら、児童書? あるいはヤングアダルト? の範疇に入る様に思い、昨年のドラマ化でようやく再度、読むキッカケとなった本です。
     最初は平仮名ばかりで、チャーリー自身の知能の低さを示す表現が、読みにくかったのですが、術後のIQが高まるうちに、児童書の範疇を超えた表現や内容であったと思えました。
     「教育を受ける理由の一つ」とは、真実とは? の探求と、外見だけでは分からないことを学ぶこと、というような言葉が印象的でした。IQの高まりが、みなと同じに受け入れられ、家族にも受け入れられるという幻想。それが飛びぬけた天才になって行くうちに「幸福感」が比例してこないという実感、孤独が深まっていく悲哀。
     序文にあった「共感力」の強さを、この本で少し養えたような気がします。

  • 久しぶりに小説を読んで泣きました。

  • 今さらながら読んだよー。後半からはもう目が離せなくなって、最後の方はすっごく泣ける。うん、そら売れるわなあ。こういった本が売れる世の中は捨てたもんじゃないと思ったりして。

    にしても、天才になったチャーリーは、もうちょっとなんかやりようがあったんじゃないかなあと思うのだが。新薬開発まではいかなくても、なんか食い止める方法とか。

  • 私これ、いいと思うんですけどね。ラストはハッピーエンドとしか思えない。そうなる直前に、人としての幸せも知れたわけだし、今の彼も幸せなんだし。
    私たちみんな、広い世界で他人と共に生きている側面もあれば、自分だけの世界に閉じこもって生きている部分もある。大事なことは人から見てどうかじゃなくて、自分がどう感じるかだ。

  • 知能がどれほど高くなっても、あくまでそれは人間の範疇を超えないのであって、それは感情や意思の面でも同じであろうと思います。それゆえ、自身の結末に気づいたときのチャーリィの気持ちは察するに余りあるし、その後の行動も大変に勇気あるものだと言いたいです。また、それに寄り添う覚悟をしたアリスについても同様です。
    再び養護学校にチャーリィが現れた時のこと、アリスは一生忘れることができないのではないでしょうか。

    願わくば、チャーリィやアリスには余生を心穏やかに過ごしてもらいたいです。

  • 分かってはいたけれど、やはりラストのくだりは号泣してしまった。チャーリーがあんなに願っていた賢い人間になること。なのに、記憶される事がなかった過去を思い出しては辛い思いばかり。どんなことも純粋な心で受け取っていたのに、人々の言葉や態度の裏にあることを知ってしまい激しく傷ついたり…自分を見捨てた家族に会いに行っても父親は気付いてくれない。母親も昔のまま…自分は一体…
    その内、副作用で向上した知能が後退していく。記憶力が低下し、字も読めず、書くことも困難に。身体的能力も低下していく。あんなに色々な事が出来たのに…愛する人への気持ちは変わらないのに…パン屋の友人も大好きなのに…元の自分に戻っていく恐怖や不安のなかで、チャーリーは1つの決意をする。心優しい、純粋な気持ちを持つチャーリーに戻りつつ、賢くなった時の事を思い出し手紙に綴る。又、沢山、本を読みたい。字を書きたい。人を愛したい。家族に会えた事、全部とても良かった、と。だから後悔していない。ありがとう。って。今、書いていても涙が止まりません。

  • 「アルジャーノンに花束を」
    TBS 金曜22時
    出演:山下智久、栗山千明、窪田正孝、工藤阿須加
    http://www.tbs.co.jp/algernon2015/

  • 一瀬さんに薦められて読みました。どんどん引き込まれてあっという間に完読しました。
    手術してデキる人間になった自分の周りからどんどん人が離れていってしまい、当の本人はその理由に気づいていない感じが読んでいて寂しかったです。
    チャーリィの母親がもう典型的な自己愛人間でこの変も読んでいて切なかったです。
    そんなチャーリィが最期の最後で自分のこれまでの人生とこれからの運命全てを知って言ったセリフが重たかったです。

    「人間的な愛情の裏打ちのない知能や教育なんて何の値打ちもない」
    「愛情を与えたり受けたりする能力がなければ、知能というものは精神的道徳的な崩壊をもたらし、神経症ないし精神病すらひきおこすものである」

  • 小説のすごさをひしひしと感じる作品。
    訳者あとがき「二十代の終わりに出会った中篇を読んだ私が流した涙は、激しい感動の涙だった。四十代にさしかかるころ、本書の翻訳にあたった私が流しつづけた涙は、苛酷な運命に翻弄されるチャーリィへの同情の涙だった」
    まさにわたしも今そんな気持ち。

    「そしていまこの本を前にして私が流している涙は、とても安らかな涙である。チャーリィは救われたと、八十代に達した私はそう感じました」
    こうなるまで、またとっておこう。

  • これで読むのは3回目。「療育」または「共生」という概念がまだなかった頃の障がい者、外面ばかり気にしすぎて、息子を受け入れようとしなかった母親…改めて読んでみて「アルジャーノン」は悲しい人達の物語なんだなと感じた。

  • 読もう読もうと思って中々読めずにいた本。
    終盤からの展開は胸を動かすものがあります。

    ページを進めるのが辛くなる程切ない小説でした。

  • チャーリィは他人の中の自分に納得できず他人の考えを変えさせたい。結果、見下して境界を引き、昔の自分も硝子の向こうに放置。高みに幸せを感じない彼が重なって切ない 最後の一行は心地よい解放感。彼は消えなかった。自我を確立して幸せを得た彼が眩しい。。。 この話は暫く前の自分の出来事に重なって胸が苦しい。ライフスタイルを戻すにあたり後戻りするようで変わることが怖かった。今は戻ったり消えたりするわけでないと体感できている。 この歳、この時にようやく読んだ巡り合わせに感謝。

  • 読んで損はなし。

  • whether an "idiot" can have an "id”?

  • 終始、主人公チャーリィの一人称で展開される物語に心打たれる名作。とにかくこの演出が素晴らしい。

    冒頭から片言の文章で非常に読みづらく、「なんでわざわざ?」と首を傾げたくなったが、読み進めていく内になるほど納得の演出だと気づかされる。そして気づいた頃には、どのようなエンディングになるのか?自分はそのエンディングをどのような形で目撃するのか…、これらの輪郭がはっきりしてからは、胸が詰まる思いでページをめくることとなった。

    手術を受けたことにより天才と化したチャーリィは、格段に世界観が広がり、自らを客観視できるようになった。しかし、果たしてこれは彼にとって幸福だったのだろうか。全てを知ることが必ずしも幸せにつながるとは言えないと感じる。身近なことで言えばインターネットの情報やSNS。一昔前までは得ることのできなかった情報を、今では家にいながら簡単に入手できる。簡単に世界観を広げる手段を得た一方で、他人との比較から抜け出せなくなる危険性も孕んでいるように感じる。

    どこそこの国ではこんな生活をしている…、友人は結婚して子供がいて…、友人はどこそこに勤めていて…、あの人は海外で活躍していて……、そして自分は…?

    こんな比較の思考に囚われて、自らを不幸に貶めている人は多いのではないだろうか。

    チャーリィを見ていて思うことは、誰しも人生は不公平だが、幸せになる権利は公平だということ。チャーリィは世間一般と比して、神仏から授かったものは少なかったかもしれないが、その人生に幸福を感じていたのは確かだろう。その与えられた人生を人工的に歪ませることは、人間の傲慢以外の何者でもないように感じる。科学が発達した今日でも、人間ごときが踏み込んではいけない領域があるのではないだろうか。

  • 蔵書のハードカバーが見当たらず、文庫版を購入。
    最後まで読み通した者だけが得られる感動があります。
    本当の幸せとは?
    20年以上前に読んだきりなのに、今でも思い出せる一冊。
    名作です。

  • 全体が主人公の主観に基づく経過報告として、特に序盤、終盤で感情を抑えて描写されているので、より深く大きい感情の波を読み手に与える本です。読み終わって一呼吸して涙がブワーッと出てしまいました。繰り返し、また時間を置いて読みかえす本に加えたいと思います。

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アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)の作品紹介

累計320万部の不朽の名作が新版に。野島伸司脚本監修、山下智久主演で連続ドラマ化が決定。知を求める青年チャーリイの苦悩と愛の物語。

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