アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)

  • 早川書房 (2015年3月13日発売)
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知的障害者の32歳チャーリイ。幼児程度の知能だけれど、学習意欲は高く、知人のパン屋で仕事もしていた。そんな彼に知能を高める外科的手術とそれに付随する学習の研究参加の誘いがきた。
この脳手術という事象で、SF作品の範疇になるようです。が、知能が向上し、知識が増え、今まで気が付かなかった周囲との問題に苦しみ、過去の自分との乖離に悩み、知能によって得られたもの失ったものが描かれる物語です。研究の限界により、チャーリイは、情緒不安定となり、同時の知能は退行していきます。
日本でもドラマ化され、ストーリーは大まかには知っていたつもりでしたが、この作品は、経過報告とされる日記形式で構成されています。初期の日記は、幼児の様な文体で、知能の向上に伴って文章が変化していきます。そして、退行も悲しくも表現されます。読み辛いと感じた初期の日記を、退行期には、一日でも多く書き残して欲しいと思うようになります。是非、活字で作品をお楽しみください。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説 
感想投稿日 : 2022年6月21日
読了日 : 2022年6月21日
本棚登録日 : 2022年6月21日

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