天地明察(上) (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2012年5月18日発売)
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本棚登録 : 10350
感想 : 871
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人は情熱を注ぐ対象があることで、幸せを感じ、挫折を味わい、感動するのだろう。

良い小説。描写の細やかさが、私の好みにぴったり。
主人公の若さゆえ、どこか青臭さを感じさせる部分も、すごく上手に表現されている。馴染みの無い言葉も出てくるが、漢字から意味を汲み取って読んでおけば特に差し支えない。

江戸時代。碁打ちの名家に生まれた春海。
お偉方の相手をし、碁を教え、どこか退屈な日々を送っている。
奇しくも碁への精通が、彼を思いもよらぬ、出会いや機会へといざなってゆく。
自分の生き方への疑問を抱いた春海。
そして敷かれたレールから外れ、自らの情熱に従い、算術いわゆる数学に傾倒して行く。
関孝和という男の影が、春海を生涯、算術の坩堝へと、引き摺り込む。

江戸時代に行われた星の測量事業に参加したこときっかけに、優秀で老齢な技術者の野心に触れた春海。
意思を受け継ぎ、いつか日本の暦の改革を誓う。

活力溢れる若き青年が、偉大な功績を残すであろう物語や如何に。ワクワク。

上巻読了。下巻へ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ファンタジー
感想投稿日 : 2020年8月30日
読了日 : 2020年8月30日
本棚登録日 : 2020年7月14日

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