金閣寺 (新潮文庫)

著者 :
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3

ちょっと意味が解らない。とか言っちゃだめか……

最後まで主人公、溝口の主観で物語は描かれている。

柏木との対話は興味深い。

己の持つ狡猾さ、邪悪、恨み、愚かさ、凡そ人には明かせない暗黒の部分。偽善を装い、他人が私を受け入れること。それは自ら劣等を受け入れる妥協を含む恐れがある。永遠に矯正する機会を失うかもしれない。そこに甘んじることは何よりも許すことのできないこと。あまりにも醜く、救いようのない穢れを受け入れることなのだ。

唯一無二の金閣寺は、破滅的な行為の中で、美しさを完成させる。狂った美への執着が最後、どのような感情で締め括られたのか。

理解に苦しむ部分が多かったが、追求すると深みに嵌る恐れがある。美とは何か。この小説はただ狂っているものを描いているわけじゃなく、人の考え方を、極端な二つに分けて、その一方の主観を描いているような気がした。
私は二分された別の一方に属していただけで、ただただ極端な考えに、極端な不審感を抱いていたようだ。

読了。
 

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2020年6月23日
読了日 : 2020年6月23日
本棚登録日 : 2020年6月21日

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