ミレニアム2 火と戯れる女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房 (2011年11月10日発売)
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感想 : 267
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めっちゃコーヒー飲みたくなる小説。

冒頭から数学の話なのか?今回のテーマは数学なのか!?
数式に拒絶反応を抑えることから始まった、ミレニアム2上巻。

当然ながらミレニアム1を読んでいなければ話の繋がりを理解できない。1を読んで間もない為、ストーリーには抵抗なく入ることができた。

まず最初に、本作のサブタイトルは『火と戯れる女』である。巻頭に、拘束された少女が登場する。彼女は自由を奪われた状況から、精神的な逃避をするために、自分を拘束している男にガソリンをかけ、マッチで火をつける妄想を繰り返していた。
この件に関して、上巻ではついに答えは出なかった。

今回も、かなり重い社会問題についてミカエル達は、衝撃的な記事、本を出版すべく仕事に取り組んでいる。
そんな中で起こる、凄惨な殺人事件を発端に、リスベットを中心に疑惑が浮上。
果たして彼女の行く先は。一体何があったのだろうか。
そして、事件とミレニアムの関連性は。

登場人物が多いので、どこまで人物にフォーカスするかは読者の考えによるところだ。
上巻では謎が謎を呼ぶ展開で、読者としては困惑する一方で下巻にどういうった辻褄合わせがくるのか楽しみだ。

社会の闇へ一石投じる物語が再び始まる。

※以下、ネタバレ有り。(備忘録)

ミレニアム1の続きとなるが、前回の事件と今回の事件は関連性は無いとされている。

リスベットの現在の後継人ビュルマン弁護士は、彼女を傷つけた代償として、報復を受け、彼女に操られるがままであったが、憎悪に憑りつかれ復讐を決意する。
リスベットを捕えよと、雇った金髪の巨人は闇社会に生きる仲介人であった。
金髪の巨人はあるオートバイクラブの総長であるマッゲにリスベットの拉致を依頼する。

ミカエルとリスベットは前回の事件以降は特に接触することなく日々の生活を送っている。というよりはリスベットの方が、クリスマスにミカエルとエリカを見て、嫉妬心や虚無感からミカエルを避けるようになった。

海外を放浪から帰国したリスベット。金には困っていないリスベットではあったが、自らの価値観で動くことは好きで、自分のやりたいことを求めアルマンスキーの事務所からデータをコピーする。(ここの描写はそこまで重要ではないように感じる)
後日、ヴァンゲル家の事件以来、顔を見せていなかったアルマンスキーに挨拶をしに行く。その際にアルマンスキーの会社が行っている調査の欠点を伝える。外部の人間が知りえない情報を、知っていたリスベットに驚くアルマンスキーは事務所に監視カメラを設置した。同時にリスベットが生きていることを喜び、彼女の人間性に苦言を呈した。君は信頼関係を軽んじている、と。
そこで、アルマンスキーはリスベットの元後見人であるパルムグレンが生きていることを伝えた。パルムグレンが生きていることを知ったリスベットは、病院に向かい多額の医療費を出し、パルムグレンの治療に選任の医師が取り組むよう手配した。

ヴェンネルストレムの口座から巨額の金を手にしていたリスベットは、これまでになかった服、体を成形し、生活は地味ではあっても多少の変化があった。住み慣れた部屋を離れた。誰にも住所は伝えていない。前の部屋は友人のミミ(ウー)にタダで譲った。
ある日、ミカエルとダグの2名が同じ店に居合わせているのに気づき、ミカエルを再び意識することに。
その後、ミカエルのPCをハッキングしている際に、今ミレニアムが取り組んでいる仕事を目にする。

ある時、リスベットはオートバイクラブの連中によって不意に襲われる。これはビュルマンの仕業と勘づいたリスベットは激怒する。からくも難を逃れたリスベットは、それから姿を消す。偶然居合わせたミカエルは後に警察にその特徴を伝えている。

そして事件は起こる。
ダグとミアが殺され、ビュルマン弁護士も殺された。
現場にはビュルマンの所持していたマグナムが落ちていた。それにはビュルマンの指紋とリスベットの指紋が着いていた。
ダグとミアが殺された直後にダグの家を訪問したミカエルは第一発見者として警察から事情聴取をされる。
その後の捜査から、リスベットの名が浮上し指名手配されることに。ミカエルは自らの考えを整理し、彼女は殺人を犯していない、仮に犯していたとしても、そこには彼女なりに正当な理由があるはずである。そう結論付けて真相を探り始める。

同じくしてアルマンスキー。彼もまたリスベットは無実である可能性を考え、自らの会社が警察の調査に加わり真実を追求することを決める。

本事件にはまだ多くの謎がある。
刑事ブブランスキーはリスベットの人物像について、記録と証言では、辻褄が合わないことに困惑する。記録では彼女は殺人を犯してもおかしくない人物として記されているが、現在の彼女を知る人物からは彼女の道徳心や能力について、とても高く評価されているという事実があった。また彼女が犯人であるならば、殺人の動機は一体何であるのか。

リスベットは一体。

ミレニアムは、ダグから受け継いだ使命を全うすることが出来るのであろうか。

覚えておくべきであろう人物をメモする。
主要人物は当然ながら、カミラ(リスベットの妹)、パルムグレン(リスベットの元後見人)、ダグとミア(本作のテーマに関連している理由で殺されたであろう2名)、ビュルマン(リスベットの現後継人・殺された)、ウー(リスベットの友人)、ブブランスキー(刑事)、金髪の巨人(謎)、ザラ(謎)、マッゲ(オートバイクラブの長)、アルマンスキー(セキュリティ会社社長)、アニカ(ミカエルの妹であり弁護士)。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年1月26日
読了日 : 2021年1月26日
本棚登録日 : 2020年10月31日

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