芥川龍之介著『河童・或阿呆の一生(新潮文庫)』(新潮社)
1968.12発行
2018.5.16読了
芥川龍之介の晩年の作品を収録した文庫本。芥川の作品では「蜜柑」が一番好きだが、この文庫本に収録されているのは、いずれも憂鬱で病的な気配を感じさせるものばかり。死を予兆していたかのように、自叙伝的な小説が目立つ。先人たちが残した本を読み漁ったり、宗教に救済を求めたり、晩年、芥川が精神的疲労に陥っていたことがよく分かる。残念ながら、それらは物質主義者の芥川の精神を救う手立てにはならなかった。鬼気迫る、そんな表現が一番しっくりくる。イカロスのように翼が燃え尽きてしまった人。才悩人、芥川龍之介。
URL:https://id.ndl.go.jp/bib/000008586831
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
91 日本文学
- 感想投稿日 : 2023年1月11日
- 読了日 : 2018年5月16日
- 本棚登録日 : 2023年1月11日
みんなの感想をみる