51年前の1959年4月9日、91歳で亡くなったアメリカの建築家。
ル・コルビュジエとともに、もっとも有名な世界的な建築家ですが、タイガー・ウッズではありませんが、その生涯には不倫とそのお相手と子供が惨殺されるという、スキャンダラスに彩られた汚点の時間がありました。
昔の帝国ホテルをはじめ、学校や個人宅など日本にも彼の建築物は数多くありますが、建築のケの字も知らない方でも、美しいハーモニーと繊細なギターテクニックで魅了するサイモン&ガーファンクルの歌う、『So Long,Frank Lloyd Wright (フランク・ロイド・ライトに捧げる歌)』という曲があることはご存知でしょう。建築界広しといえど、世界的なデュオによって歌われる建築家など他にひとりもいません。
彼は、自然との調和を一番大切にし、素材の持つ美しさを最大限活かして、あたかも植物の成長と同じような空間の有機的展開を意図します。
シンプルなデザインこそ、私たちの生活空間にもっともふさわしいとして、自らの美意識と、創造への飽くなき追求を表明する本書を読めば、現代の最重要課題である環境問題の視点からも、改めて原点としてのフランク・ロイド・ライトという認識を強くされることでしょう。
100点以上の図面や写真が活字だけじゃなくて楽しい読物ふうに和ませてくれますが、やっぱり何といっても建築物そのものが、彼の圧倒的な存在感を強烈に感じさせて迫って来ます。
この感想へのコメント
1.フィリップ・まろ (2010/04/13)
僕らの世代では、最初にフランク・ロイド・ライトの名前を知ることになったのはS&Gのナンバーからです。だから名前の方が先走っていたなぁ。
僕が大好きな『美の壺』のシリーズでは、柳宗悦と同じくらい何度も登場する人物です。
「フランク・ロイド・ライト」って名前を口にするのも何だか小気味がいいよね。
彼の建築様式は市民にとって生理的に受容しやすい。その根源は彼自身の名前に既に具象化されていた、なんて、ね。
2.薔薇★魑魅魍魎 (2010/04/17)
あれって確か、アート・ガーファンクルが建築学部出身で、ポール・サイモンがそれっぽく作ってプレゼントした曲だとか、詳しくは忘れましたけど。
『美の壺』いいですね、最近はまってきましたけれど、バックナンバーを全部集めたい欲望にかられています。
- 感想投稿日 : 2010年4月9日
- 読了日 : 2010年4月9日
- 本棚登録日 : 2010年4月9日
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