妹の不幸な事故。そりの合わない学校の先生。心の限界に近付いている少年が、クレヨン王国に迷い込み、パトロール隊長に任命されて旅に出発する。
旅の途中で、少年はある言葉に出逢う。
「あのひとはわたしの憎しみの心を駆り立てる。しかし、わたしもまた、あのひとの憎しみの心を駆り立てている。」
そのとき、少年は、先生のことを思い出す。
先生がじぶんを苦しめているように、じぶんもまた、先生を苦しめているのだと。
小学生にとってクラスの担任は、絶対的な存在で、対等に話せる相手ではない。相性の悪いそんな存在に毎日指導されることは、彼にとって、けっして小さな問題ではない。
先の言葉は、その問題のすべてを解決してくれるものではない。うまくいかない場面はいくらでもあるだろう。しかし彼はきっと、旅に出る前と違った気持ちでそれに向かえるようになっている。
人間関係は大人になっても続く。どちらが悪いという訳ではないが「どうしても合わない」という場面は多々存在する。そんなとき、相手の考えを押し曲げて自分の考えを押し付けるのではなく、どうせ分からないのだと放棄するのでもなく、相手の考え方を、共感はできなくても理解しようと四苦八苦することはできるのだと思い出させてくれる。
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- 感想投稿日 : 2011年9月10日
- 本棚登録日 : 2011年9月9日
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