モンテ・クリスト伯 2 (岩波文庫 赤 533-2)

  • 岩波書店 (1956年2月25日発売)
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無実の罪で決して脱走などできないシャトー・ディフの監獄に囚われたダンテスは、ファリア司祭から語学や化学などの実学を学び、コツコツと脱獄の準備を進めていた。
しかし、ファリア司祭はついに3回目の発作を起こし、亡くなった。
この機にダンテスは脱獄を実行する。
そして船乗りの経験を活かして、密輸業者の船に乗り込み、機会を見つけてモンテ・クリスト島に隠された宝を見つけ、姿を消したのだった。

とはいえ、ダンテスが変装をしたところで読者にはわかる。
まず最初に姿を現わしたのは、ダンテスのかつての雇用主のモレル氏のところ。
モレル氏は最後までダンテスの無実を信じ、何度も関係者に掛け合ったけれども、ナポレオン派と王室派の権力争いの中でその行動は自ら災難に巻き込まれようとしているようなものだった。
そのうえ、所有していた船が沈没したり行方不明になったりして、モレル氏は今や破産寸前なのだった。

もちろんダンテスがその莫大な財産の中の一部を使って、かつての雇用主であり恩人でもあるモレル氏の窮状を救うのだけど。
結構モレル氏が自殺しようとする直前なんだよね、助けるタイミングが。
もっと早くなんとかして差し上げても良かったのではなくって?
しかもモレル氏の娘に「船乗りシンドバッドより」なんて手紙渡してさ、もってまわったやり方で助けるのよ。
恩人に対する態度とは思えん。
でも、これがダンテスの最後の善行で、これからは復讐あるのみ。

まず最初はフェルナンの息子、フランツ。
この青年、悪い人ではないというか、多分善人だとは思うけれど、金持ちの家に生まれたことによる無自覚の嫌なやつ臭がする。
『レ・ミゼラブル』のマリウスのような感じ。
苦労をしらないから、頭の中の倫理観で行動するけれど、無自覚に庶民を踏みつける。
彼と、友人のアルベールがローマの謝肉祭に出かけた先で、ダンテスが姿を現わすところで次へ続く。

莫大な財宝を手に入れたのはわかるのだけど、お金の使い方がえげつないダンテス。
たとえ復讐のためとはいえ、不必要な出費はなるべく抑えるが肝要かと思いますが。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年11月1日
読了日 : 2022年10月16日
本棚登録日 : 2022年10月16日

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