迷宮遡行 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2000年10月30日発売)
3.04
  • (20)
  • (67)
  • (309)
  • (62)
  • (13)
本棚登録 : 1085
感想 : 106
5

主人公の迫水は、10年務めた不動産会社をリストラされ、そのうえ愛する妻に逃げられるという始末。
身に覚えがありすぎて、何が原因で逃げられたのかもわからない。

とことんダメな男であるが、妻を愛する気持ちだけは本物で、妻を見つけ出すためなら暴力団に脅されようとも、警察を出し抜こうとも、後悔はしない。

しかし、決して悲壮感漂わないのが、迫水の迫水たる所以。
本人は真面目なのだろうけれど、どこかとぼけたおかしみが、笑いを誘う。
そして、小さな小さな手がかりを情報交換することによって、少しずつ妻に近付いていくのだとしたら、これは現在のわらしべ長者のようだな。

そんなのんびりした気持ちで愉快に読んでいたら、突然の大転換。
好きだからこそ知られたくない秘密。
それがこんな悲劇を引き起こすことになるとは。

これ、ドッキリじゃないかな?迫水がみんなに引っかけられたんじゃないかな?と、祈るように読んだけど、現実だった。
このあと、迫水はどうなっちゃうんだろう?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年7月14日
読了日 : 2017年7月14日
本棚登録日 : 2017年7月14日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする