安部公房特有の暗くねばっこい質感がありながら読む手を止まらせない一冊。
探偵としてあちこち探し回り、一癖も二癖もある人たちと何度もすれ違っているが探してる男の姿は一向に見つからない。影さえ見えないままだから心のどこかに知らない影を作りたがるのは誰もがそうなのかもしれない。
そうして終わらない迷路を彷徨った主人公が最後にたどり着いた先が実際に迷路の終わりだったのか、新しい迷路の始まりだったのか。細部に至るまで抽象化した現代の偶像としての都会、社会性を描いた作品に思えて面白かった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2024年1月8日
- 読了日 : 2024年1月8日
- 本棚登録日 : 2024年1月8日
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