キネ旬総研エンタメ叢書 「おもしろい」映画と「つまらない」映画の見分け方

  • キネマ旬報社 (2011年8月11日発売)
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感想 : 20
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私は今一つだったりつまらない映画を観てしまうと、どうしようもなくモヤモヤが積り、ひどい時には何ヶ月も映画館から足が遠退いてしまうたちだ。映画嫌いに成りかける場合もある。故に本書と遇えたことは本当にありがたかった。
もちろん本書を唯一絶対の基準にするつもりはないが、凡作駄作を鑑賞しなくて済む、または鑑賞後に考察する余裕ができたような気がしている。「13フェイズ構造」や「リマインダー」といった概念や理論は一見取っ付き難そうだが、驚くほど多くの映画に対応できる。自らの経験で言えば、何故自分は『コンパートメントNo.6』に感動したのか、何故『チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密』や『新解釈・三國志』といった作品をつまらなく感じたのかが解ったような気がする。
ただし、本書で提示されている理論は必ずしも万能ではないのだろう。例えば、①理論に当て嵌まらないが、おもしろい映画(個人的にはスタンリー・キューブリック監督の『シャイニング』や、エミール・クストリッツァ監督の『アンダーグラウンド』等)、②意図的に理論から逸脱している映画(ヌーヴェル・ヴァーグ、またジム・ジャームッシュやオタール・イオセリアーニといった監督)だ。このようなときはケースバイケースなのだろうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: キネマ旬報社
感想投稿日 : 2023年4月23日
読了日 : 2023年4月23日
本棚登録日 : 2023年4月22日

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