檸檬 (280円文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所 (2011年4月15日発売)
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本棚登録 : 971
感想 : 90
4

5篇とも、死や衰弱の香りがしつつも、
美しくさっぱりとしている。

それはまるで人間の脆さが、
人生の美しい由縁とでも主張したいかのよう。

もちろん描写が一つ一つ繊細であるのだが、
この繊細さは心身ともに不健康だからこそ認識出来るのだと思う。

『桜の樹の下には』でこの文庫本は締め括られるのだが、まさに美しさと醜さ、つまるところ生と死は表裏一体で、それひとつでは完全体でないのだという事実を突きつけられて、この5篇をもう一度読み返したくなる。

それぞれ非常に短い作品ではあるのだが、
物語におけるさっぱりとした味わいに、このミニマルさは不可欠なのだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年9月8日
読了日 : 2022年9月8日
本棚登録日 : 2022年9月8日

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