5篇とも、死や衰弱の香りがしつつも、
美しくさっぱりとしている。
それはまるで人間の脆さが、
人生の美しい由縁とでも主張したいかのよう。
もちろん描写が一つ一つ繊細であるのだが、
この繊細さは心身ともに不健康だからこそ認識出来るのだと思う。
『桜の樹の下には』でこの文庫本は締め括られるのだが、まさに美しさと醜さ、つまるところ生と死は表裏一体で、それひとつでは完全体でないのだという事実を突きつけられて、この5篇をもう一度読み返したくなる。
それぞれ非常に短い作品ではあるのだが、
物語におけるさっぱりとした味わいに、このミニマルさは不可欠なのだろう。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年9月8日
- 読了日 : 2022年9月8日
- 本棚登録日 : 2022年9月8日
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