「空白を満たしなさい」、「ドーン」を読み分人という考え方に対して違和感が薄れてきた勢いで、本作を読んでみた。精神の崩壊が「決壊」し、家族が崩壊していく物語であると前振りで理解をしている。上巻最後で、主人公・野沢崇の弟・良介がバラバラ遺体で発見されたことがわかり、家族の崩壊へと、ここの物語が進んで行くことを暗示される。
本作の中で、人間の心理をついているが、嫌いな言葉がある。「問題はただ一つ。殺人が、自分の身に起こるかどうか、だ。殺戮はむしろ歓迎されている。そこにいて身に危険が及ばない限り。人間は相変わらず愚かだ。しかし、だからこそ、今ここにある平和は人間的な意味で尊い。」
家族に突きつけられた「殺人による死」を想像すると、この悲惨な事実を歓迎する人間が、自分の身には起こっていないという事で、歓迎するであろうか? この悪魔の男の考えが、殺人を実行する人間の感覚なんだろうかと思うと、作者が少し恐ろしく思える。
はじめに登場した壬生実見が気になる。単なる通りすがりの登場なのだろうか?
下巻の展開が気になる。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年7月6日
- 読了日 : 2020年7月6日
- 本棚登録日 : 2020年7月6日
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