蜜蜂と遠雷

著者 :
  • 幻冬舎 (2016年9月23日発売)
4.35
  • (2887)
  • (1822)
  • (640)
  • (116)
  • (31)
本棚登録 : 20439
感想 : 2167
5

久しぶりに、恩田陸先生の作品を読んで、感動した!時間を忘れて没頭してしまった。

そして、何より、音楽の世界の広がりと厚みを文章で伝えることができる恩田陸先生の知識に羨望し、憧れる。絶対、音楽をしている人でないと、書けない作品だとわかる。
また、そのことが逆に自分の音楽的センスと知識の欠落を認めざる得ない作品だとも思った。

自分が多少なりとも知識がある作品を読んだとき、例えば、絵画や陶芸であれば、描写されている記述に、「知ってる」とその記載に同意したり、時には「それは何故だから」とかその関連知識を考えたり、「それは違う」反論したりすることができる。が、今回は「へー、そうなんだ」と、ただ、ただ感心することばかりで、その「そうなんだ」の数の多さに自分の無知さを認めてしまった。

そう思った理由に、かつてピアノを習って真剣に取り組んでいたことがある過去の歴史があるからであろう。

とにかく感動は、この物語で出てきているショパン、リスト、ドビュッシー、ラフマニノフ、シューベルト、メンデルスゾーン、ショパン、ブラームス、フランク、フォーレ、ストラヴィンスキー、シューマン、モーツァルトは、読みながらメロディーが流れてくるところだ。活字を目で追いながら、頭の中で常に音楽が流れている状態で、とても迫力があり、コンクール会場にいるような臨場感にみまわれる作品であった。

本作は、ピアノコンクールという舞台に3人の天才が引き寄せられる話である。天才の一人は養蜂家の父と各地を転々として自宅にピアノがないという16歳の風間塵、二人目の天才は、かつて天才少女と称されていたのに13歳の母の死以来ピアノから離れていた20歳の栄伝亜夜、そして三人目は、ペルーの日系3世の母を持ち名門音楽院生の19歳マサル・C・レヴィ・アナトール。
音楽の神様に愛されている彼らが芳ヶ江国際ピアノコンクールで共鳴する。
そして同じくこのコンクールには秀才の高島明石も参加していた。
三人の天才の素晴らしい演奏は、凡人には理解しがたい夢の世界の出来事のように感じるのを、この高島明石の登場により読者目線に下がる。(と、言ってもそれでもまだまだ上の方のレベル過ぎるのだが)

コンクール受賞結果には、少々不満も残るが、それぞれの受賞者が、未来に向けて活躍していく姿を想像し、同時に受賞者たち挑戦と期待、そして喜びを共感できた気持ちを味わえた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年7月4日
読了日 : 2021年7月4日
本棚登録日 : 2021年7月4日

みんなの感想をみる

コメント 8件

アールグレイさんのコメント
2021/07/07

初めまして!
ゆうママと申します!
フォローを頂きありがとう御座います!
私は2月にブクログを知りました。まだまだ新入りです。今までにいろいろな本を読んできましたが、残念なことに内容をしっかりと、レビューを書けるほど覚えていないということが情けないです。そんな本は、記憶を手繰り寄せながら書きました。
ブクログでは皆さんにいろいろな本をお薦め頂けるので、私の読書の幅も広がりました。
読みたい本だらけです。図書館に予約している本もあるので大変です♪
残念ながら、私は読むのが遅いんです(√∇ゝ;)
そんな私ですが、どうぞよろしくお願い致します。☆

kurumicookiesさんのコメント
2021/07/07

はじめまして。kurumiと申します。

ブグログは、私も昨年から初めて、自身の記憶の整理に活用しているところもあり、誤字や意味不明な文書が多々あるかと思いますが、ご容赦ください。

ゆうママさんのコメントも楽しみにしております!

今後ともよろしくお願いします。

アールグレイさんのコメント
2021/07/07

kurumiさん
早速ですが、お薦め本、引き込まれていくような、それでいてあまり難しくない本ってありますか?
急に聞かれても困りますよね。私の本棚を見て頂いて、レベルを分かって下さればと思います。
思いついた時に、お願い致します
m(._.)m

kurumicookiesさんのコメント
2021/07/08

ゆうママさん、

私はテッパンですが原田マハさんの「楽園のカンヴァス」を読んだ時が一番、本って面白いなぁと思いました。まだ、読まれていなければこちらをおすすめさせてください。

私は作家さん攻めなので、まだまだですが、
本棚に登録されている「本日はお日柄もよく」や「総理の夫」もよかったですよ。

作家さん攻めで言うと、本当は、平野啓一郎さんも好きなんですがね。ちょっと、思想が深くて読みづらいものもあります。

アールグレイさんのコメント
2021/07/08

こんにちは!
早速のお薦め本をありがとう御座います!
実は私、原田マハさんを読んだことがないんです。自分でも、’<(`^´)>エッ?うそでしょ?”と思いつつ記録用紙を目を皿のようにしたのですが・・・・ない!
それからというもの、原田さんに変な抵抗を感じています。
本日はお日柄・・・、総理の夫は2冊共、読みたい本です。このことをポプラ並木さんにお話したところ、本日は・・・から始めてみては?とのアドバイスでした。
(*´д`*)すみませーん、どうか他の作者さんで何かないでしょうか?
我が儘なお願いで、ごめんなさい(^-^;
“<^-^>”

kurumicookiesさんのコメント
2021/07/08

難しい…

では、有川浩さんの「植物図鑑」、「旅猫リポート」あたりはいかがでしょうか?

あとは、個人的には柳広司さんの「風神雷神」が好きです。これは私が日本画が好きだからかもしれません。

kurumicookiesさんのコメント
2021/07/11

蜜海さん、こんにちは。

稚拙な感想にコメントいただき恐縮です。しばらくあっさりした本を読んでいて、久しぶりの恩田先生の本に興奮しておりました。
少し前に読んだのですが、それでも読後のドキドキは今も覚えております。
CDまで購入されたのですか!でも、その気持ち、本当にわかります!!
音楽を聴くと、これをどのように演奏したのだろう?とか、フィクションではないとわかりながらも、コンクールで彼らが演奏を想像してしまいますよね!

蜜海さんとコメントが感動が共有できて、とても嬉しい気持ちになりました!

今後ともよろしくお願いいたします。

kurumicookiesさんのコメント
2021/07/12

蜜海様、

コメントありがとうございます。
偏りがある読書で、まだ、まだ、この人のこんな言い回しや表現が好きというのが、まだ安定しておらず、とにかく色々読んでいる段階です。
徐々にでも、学生の頃とは違った目で日本文学というジャンルにも広がればいいなぁと考えております!

ツイートする