お弁当をテーマにしたアンソロジー。個人的にはたまたま先に読んだ"カレーライス"よりも格段に良かった。美術エッセイスト洲之内徹氏の、地方に住む老読者との交流(舞台となるのが馴染みのある地域であったため余計に)、入江相政氏が描く昭和天皇のエピソードをはじめ、元弁護士中坊公平氏の「温かな人柄を感じさせる」、南伸坊氏の「笑みを誘うユーモラスな」、池波正太郎氏「お得意の」、沢村貞子さんの「何度読んでも飽きない」、そして「大好きな」向田邦子さんの掌編、他にも武田百合子さん、宇野千代さん、池波志乃さんなど、どれも素晴らしかった。分けても本作中最も印象深かったのは、阿川弘之氏のエッセイの一節。詳細は書かないけれど引かせていただく。
「コレステロールの数値が高過ぎます。塩分と動物性の脂肪を控へるやうに」、医者に言はれたばかりだが、此の際そんなこと、構つてをられるか。
たかがお弁当、されどお弁当。氏のあまりに人間臭い一文に思わず快哉を叫ぶ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年11月17日
- 読了日 : 2013年11月17日
- 本棚登録日 : 2013年9月30日
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