椿山課長の七日間 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2005年9月16日発売)
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本棚登録 : 312
感想 : 23
4

浅田次郎という作家は有名なことは知っているが読んでいなかった作家だったが、職場の上司の紹介で初めて読み始めた。
この作品もたしか映画化されているな・・・位の認知度だった。
読み始めは、死後の世界の設定が「ありきたり」な感じがしていたが、読み進めるにつれて様々な人物が登場し、それぞれの視点で物語が巧妙にからまり、どんどん引き込まれていった。
エピソードのつながりがご都合主義のように思えたこともあるが、この世もあの世も、神様の采配で、何かを学ぶために「縁」というものでつながれている・・・という仏教の考えを鑑みれば、ご都合主義ではなく、これは作者の意図とするところだろうと思う。
とくに椿山課長の父親の存在が、この物語の芯となっているように思える。
最後の「こわいところ」へ覚悟をもって、余裕さえ感じさせながら旅立つところと、椿山課長が母親に父親の懺悔ともいえる母(妻)への思いを伝えるシーンで涙が流れて、泣いた自分でもびっくりしてしまった。
仏教の教えを読むことがもともと好きだったこともあって、自分のなかにすっと入ってきた物語だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 紹介してもらった本
感想投稿日 : 2014年7月18日
読了日 : 2014年7月12日
本棚登録日 : 2014年7月18日

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