冬のフロスト 下 (創元推理文庫)

  • 東京創元社 (2013年6月29日発売)
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感想 : 59
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イギリスの作家「R・D・ウィングフィールド」の長篇ミステリ作品『冬のフロスト〈上〉〈下〉(原題:Winter Frost)』を読みました。
『『夜のフロスト』に続き、「R・D・ウィングフィールド」の作品です。

-----story-------------
〈上〉
寒風が肌を刺す一月、デントン署管内はさながら犯罪見本市と化していた。
幼い少女が行方不明になり、売春婦が次々に殺され、ショットガン強盗に酔っ払ったフーリガンの一団、“怪盗枕カヴァーといった傍迷惑な輩が好き勝手に暴れる始末。
われらが名物親爺「フロスト警部」は、とことん無能で好色な部下に手を焼きつつ、「マレット署長」の点数稼ぎが招いた人手不足の影響で、またも休みなしの活動を強いられる……。
大人気警察小説第5弾。

〈下〉
冬のデントン市内で起きた事件の数々は、警部お得意の勘頼み捜査が的中したものを除き、大半が未解決のままだった。
少女誘拐の容疑者は不在となり、売春婦を狙う連続殺人犯はいまだ野放し。
「マレット署長」の小言には無視を決め込み、「モーガン刑事」の相次ぐ失態はごまかしてきたが、それも限界だ。
どでかい失策に州警察本部の調査が入るわ、“超能力者”が押しかけるわでデントン署は機能不全の瀬戸際、「フロスト警部」もついに降参か!?
解説=「養老孟司」

*第1位『IN★POCKET』2013文庫翻訳ミステリーベスト10/総合部門
*第1位『IN★POCKET』2013文庫翻訳ミステリーベスト10/読者部門
*第1位『IN★POCKET』2013文庫翻訳ミステリーベスト10/作家部門
*第1位『IN★POCKET』2013文庫翻訳ミステリーベスト10/翻訳家&評論家部門
*第3位『ミステリが読みたい!2014年版』海外編
*第3位『このミステリーがすごい!2014年版』海外編
*第6位『週刊文春 2013年ミステリーベスト10』海外編
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1999年(平成11年)に発表された作品で、イギリスの架空の地方都市デントン市を舞台にしたモジュラー型の警察小説、「ジャック・フロスト警部」シリーズの第5作目にあたる作品です、、、

上下巻でなんと約1,000ページの大作… 「ジャック・フロスト警部」シリーズの愉しさを存分に堪能できました。


冬のデントン署はまたしても忙しい… 酔っ払いのフーリガンがバス一台分、警察署に押しかけて大騒ぎになり、枕カヴァーを使う侵入窃盗事件が頻発し、娼婦ばかりが狙われる連続虐殺事件に行方不明の少女が他殺体で発見され、さらに裏庭から白骨体が掘り出されてと署員はおおわらわだ、、、

そんななか「フロスト警部」は、とことんダメな部下「モーガン刑事」と上司「スタンレー・マレット署長」に足を引っぱりまくられ、さらには「リズ・モード警部代行(部長刑事)」の戦線離脱という苦境にさらされながらも、いつもの軽口を武器に寝る間を惜しんで事件解決に奔走する。


勘に頼り、常に現場に足を運び、不眠不休で働き続けるという「フロスト警部」の捜査方針は相変わらず… しかも、本作品ではドジばかりを踏む部下の「モーガン刑事」に幾度となく足を引っ張られ、それにより「モード警部代行」が窮地に追い込まれるという、これまで以上に大変な状況、、、

いやいや、どうなることやらと思いましたが、終盤、運にも助けられ複数の事件が一気に解決に向かいます… いやー 面白かった、「フロスト警部」ワールドが堪能できましたね。

このシリーズ… というか、「フロスト警部」って、読者を惹きつける不思議な魅力があるんですよねー 長くて読むのは大変なんだけど、それでも愉しめるシリーズですね。


以下、主な登場人物です。

「ジャック・フロスト」
 デントン警察の警部。主人公

「ビル・ウェルズ」
 巡査部長

「アーサー・ハンロン」
 部長刑事

「モーガン」
 刑事

「ジョー・バートン」
 刑事

「ランバート」
 巡査

「エヴァンズ」
 巡査

「ケン・ジョーダン」
 巡査

「シムズ」
 巡査

「ジョン・コリアー」
 巡査

「ハウ」
 巡査

「ポリー・フレッチャー」
 巡査

「リズ・モード」
 警部代行

「スタンレー・マレット」
 警視。デントン警察署長

「アレン」
 警部

「サミュエル・ドライズデール」
 検屍官

「ミス・グレイ」
 ドライズデールの助手

「トニー・ハーディング」
 鑑識チームの責任者

「マッケンジー」
 警察医

「ロリータ」
 売春婦

「リンダ・ロバーツ」
 売春婦

「バーサ・ジェンキンズ」
 売春婦

「チェリー・ホール」
 売春婦

「アンジェラ・マスターズ」
 売春婦

「セアラ・ヒックス」
 売春婦

「ドリーン・ビーティ」
 デントン市民

「トミー・ジャクソン」
 タクシーの運転手

「ロバート・グラッドストン」
 へべれけドライヴァー

「ヴィクター・ジョン・ルイス」
 ガソリンスタンド店員

「ハリー・グラフトン」
 売春の元締

「ミッキー・ハリス」
 ハリーの用心棒

「カークストン」
 ミッキーの弁護士

「ヴィッキー・スチュアート」
 8歳の少女

「ジェニー・ブルーアー」
 7歳の少女

「メアリー・ブルーアー」
 ジェニーの母親

「デニス・ハドレイ」
 メアリーの同棲相手

「トニー・スコットニー」
 11歳の少年

「レッドウッド夫妻」
 強盗事件の被害者

「ハーバート・ジョージ・ダニエルズ」
 強盗事件の被害者

「マッグズ」
 ダニエルズの友人

「パトリック・トマス・モリス」
 石油会社の営業

「バーニー・グリーン」
 小児性愛者

「チャールズ・エドワード・ヴィーヴァー」
 写真愛好家

「メイジー・ホワイト」
 ヴィーヴァーの伯母

「フォスウィック」
 ヴィーヴァーの弁護士

「ヴィヴィアン・テイラー」
 若い母親

「ネリー・オルドリッジ」
 ネルソン・ロードの住人

「ヘンリー・ブラマー」
 超能力者

「サンディ・レイン」
 『デントン・エコー』紙の記者

「テッド・ターナー」
 屋台の店主

「アシュビー」
 歯科医

「ヘレン・ストークス」
 歯科医院の受付係

「マーヴィン・アダムズ」
 <サマリタンズ>のボランティア

「スクリヴナー」
 <サマリタンズ>のボランティア

「マックス・ゴールディング」
 <デイトン送迎サーヴィス>の経営者

「メイヴィス」
 <デイトン送迎サーヴィス>の配車係

「プレストン」
 デントン署の主任警部

「ベイリー」
 州警察本部の警視正

「ホップリー」
 州警察本部の主任警部

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: <読む>ミステリ(海外)
感想投稿日 : 2023年6月27日
読了日 : 2021年1月21日
本棚登録日 : 2022年3月11日

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