償いの報酬 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

  • 二見書房 (2012年9月21日発売)
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感想 : 19
4

アメリカの作家ローレンス・ブロックの長篇ミステリ作品『償いの報酬(原題:A Drop of the Hard Stuff : A Matthew Scudder Crime Novel)』を読みました。
『八百万の死にざま』に続きローレンス・ブロックの作品… ここのところ、ローレンス・ブロックの作品が続いています。

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アル中探偵マット・スカダー復活?

『八百万の死にざま』から1年。
完全に酒を断ち切ることはできるのか――シリーズ最新作

【探偵マット・スカダー・シリーズ】
禁酒を始めてまもなく1年が経とうとしていた。
いつものようにAAの集会に参加したスカダーは、幼なじみで犯罪常習者のジャック・エラリーに声を掛けられる。
ジャックは禁酒プログラムとして、過去に犯した罪を償う“埋め合わせ"を実践しているという。
そんな矢先、銃弾を頭部に撃ち込まれ何者かに殺されてしまう。
スカダーはジャックの遺した「埋め合わせ」リストの5人について調査を始めるが……。
名作『八百万の死にざま』後をノスタルジックに描いたシリーズ最新作。
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2011年(平成23年)に刊行されたマット・スカダー・シリーズの第17作… 74歳になったスカダーが30年前の『八百万の死にざま』の翌年に起こった事件を振り返る趣向となっているので、時系列的には、ちょうど良い順番で読んだ感じですね。


禁酒を始めてから3カ月が経とうとしていた頃、スカダーは幼馴染で犯罪常習者だったジャック・エラリーと思いがけずAAの集会で再会する… ジャックは禁酒プログラムの第九ステップ――過去に自分が傷つけた相手全てに“埋め合わせ”をするステップ――を実践しており、真人間に生まれ変わろうと務めていた… そんな矢先、銃弾を頭部に撃ち込まれ何者かに殺されてしまう、、、

殺されたことと、彼が第九ステップを実践していたことは何やら関係がありそうに思われ、スカダーはジャックのAAの助言者(スポンサー)であるグレゴリー(グレッグ)・スティルマンに依頼されて調査に乗り出す… その結果、ジャックが“埋め合わせ”をしようとしていた相手が5人いることがわかる。

その5人の誰かが犯人なのだろうか、その5人の中にはそもそも犯人はいるかどうか……。


アル中患者の治療プログラムに直結する事件… 調査の中でリストの5人を訪ねるエピソードも、それぞれ興味深く、捜査の過程が愉しめましたね、、、

そして、真犯人を突き止め、真犯人と対峙するクライマックスシーンは緊張感たっぷりで印象的でした。

決着のつけ方には賛否両論ありそうですが、これはこれでスカダーの判断として支持したいと思います… 物的な証拠がなく、司法の手に委ねられない事案であれば、自ら決着をつけるしかないですからね、、、

この判断も、ひとつの選択肢だと思いますね… カタルシスを感じる決着方法ではないですが、白黒はっきりさせることと表裏一体の方法だと感じました。

やや冗長な感じはあるのですが… スルメのように噛めば噛むほど味が出て、やめられなくなるシリーズですねー 次もマット・スカダー・シリーズを読んでみようと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: <読む>ミステリ(海外)
感想投稿日 : 2022年5月1日
読了日 : 2022年5月1日
本棚登録日 : 2022年4月17日

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