完訳 7つの習慣 人格主義の回復

  • キングベアー出版 (2013年8月30日発売)
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20世紀で最も影響力のあるビジネス書とされ、タイム誌が選ぶ世界でもっとも影響力のあるアメリカ人25人の一人に選ばれている著者の代表作。

人生で何より大切なのは、「個性主義」ではなく「人格主義」のパラダイムをもつことである。
そして「人格」とは、繰り返し行うことの集大成である。それ故、秀でるためには、一度の行動ではなく習慣が必要となってくる(-アリストテレスより)。
また、その「習慣」とは知識、スキル、意欲の3つが交わる部分と定義される。

【第1の習慣 主体的である】
何が起ころうとも、それが自分に与える影響を自分自身の中で選択することができる。
刺激と反応の間には選択の自由がある。…私たちは自分の身に起こったことで傷つくのではない。その出来事に対する自分の反応によって傷つくのである。
直接的にコントロールできる問題は、習慣を改めれば解決できる。…間接的にコントロールできる問題は、影響を及ぼす方法を考えることで解決できる。…自分ではコントロールできない問題の場合には、その問題に対する態度を根本的に改める必要がある。

【第2の習慣 終わりを思い描くことから始める】
まず、人生を支える四つの要素(安定、指針、知恵、力)を見つめて、自分の中心をはっきり認識する。配偶者、家族、お金、仕事、所有物、娯楽、友人、敵、教会、自己、等があり、ほとんどの人は複数の中心が組み合わさっている。しかし、中心をころころ変えるのではなく、人生の中心に正しい原則を据えることが大切である。原則はどんなものにも影響されないため、人生は安定する。

【第3の習慣 最優先事項を優先する】
時間管理の本質を一言で言うと、「優先順位をつけ、それを実行する」に尽きる。私たちが活動を決める要因は、緊急度と重要度の二つである。重要度は結果に関係し、人のミッション、価値観、優先度の高い目標の実現につながるものである。しかし、私たちは緊急の用事には受動的に反応してしまう。そのため、緊急ではないが重要なことをするには、率先力と主体性がいる。能動的に動くことが必要になってくるのである。先を見て対策を講じなければならない。緊急ではないからと言って、ついつい後回しにしてしまうことは避けたい。正しい原則を生活の中心に置き、人生のミッションを自覚すると、その都度効果的に判断をする知恵をもてるようになる。バランスよく優先順位をつけて、それを実行することが大切である。大切なことは、スケジュールの優先順位をつけるのではなく、優先すべきことをスケジュールにすることである。一週間単位で計画を立てるのが望ましい。

【第4の習慣 Win-Winを考える】
Win-Winは、すべての人間関係において、必ずお互いの利益になる結果を見つけようとする考え方と姿勢である。他に、Win-Lose、Lose-Win、Lose-Lose、Win、Win-Win or No Dealと合わせて、計6つのパラダイムがある。
Win-Winの原則は、あらゆる人間関係の成功を築くための基礎である。まず人格(誠実:自分自身に価値を置く、成熟:勇気と思いやりのバランスがとれている、豊かさマインド)があり、それによって人間関係が築かれ、そこで協定ができる。合意に至るまでの流れを円滑に進めるためには、Win-Winに基づく構造とシステムが要る。さらにプロセスも重要である。

【第5の習慣 まず理解に徹し、そして理解される】
人の話を聞くときに、人は自分の過去の経験を相手の話に重ね合わせてしまうため、評価する、探る、助言する、解釈する、といった四つの反応をしてしまいがちである。
共感による傾聴のためには段階がある。1相手の言葉をそのまま繰り返す、2相手の言葉を自分の言葉に置き換える、3相手の気持ちを言葉にする、4相手の言葉を自分の言葉に置き換えると同時に相手の気持ちも言葉にする。この4つである。
相手を心から理解したいという純粋な気持ちで話を聞けば、驚くほどに相手は心を開く。そして、信頼し理解しようとしてくれる。相手を理解するには思いやりが必要で、そして自分を理解してもらうためには勇気が必要なのである。

【第6の習慣 シナジーを創り出す】
シナジーとは、全体の合計が個々の部分の総和よりも大きくなるということ、また、それが単なる部分ではなく触媒の役割を果たし、人に力を与え、人々の力を一つにまとめる上で重要な働きをするものである。
シナジーは信頼と協力の関係の中で成り立つ。相手の意見に迎合する必要はないが、相手の意見を認め、理解しようとすることで、ほとんどどんな場合にもシナジーにあふれた第3の案は見つかるはずでる。

【第7の習慣 刃を研ぐ】
バランスのとれた健全な生活を送るための基本価値は、観点(精神)、自律性(知性)、つながり(社会)、体調(肉体)の4つである。―哲学者ハーブ・シェパード
この4つの側面の全てを日頃から鍛え、バランスを考えて磨いていくことが大切である。「刃を研ぐ」ことは、自分の人生に対してできる最大の投資である。
肉体的側面:週に3~6時間程度、一日おきに30分くらい体を動かすこと、理想としては、自宅でできて、持久力、柔軟性、筋力の3つを伸ばせる運動プログラムである。
(原則:健康に関して、すでに確立され受け入れられている普遍的な原則に沿ったライフスタイルによって、病気や健康上の問題を予防する。)
知的側面:継続的に学ぶこと、知性を磨き広げていく努力をすることは、知的側面の最新再生には不可欠である。…日頃から知識を吸収して知性を広げていこうと思ったら、優れた文学を読む習慣を身につけることにまさる方法はない。「本を読まない人は、読めない人と何ら変わらない」のである。
(原則:幅広く深く読書し、継続的に学ぶ。)
社会・情緒的側面:心の安定は自分自身の内側から生まれる。…自分の価値観に誠実に生きることが、自尊心を呼び起こす源である。…心の平和は、自分の生き方が正しい原則と価値観に一致していて初めて得られるものであり、それ以外にはない。
(心情の原則:敬意を払い、話を真剣に聴き、他者に仕えることが真の達成感と喜びをもたらす。)
(精神の原則:人生を前向きにとらえることができるもの、人生に意味を見出そうとする基本的なニーズの源には原則がある。)
真に主体的で非常に効果的な人間になるためには良心を鍛えなければならない。しかし良心を鍛えるには、より高い集中力、バランスのとれた自制心が必要であり、良心に誠実であることを常に心がけなければならない。精神を鼓舞するような書物を定期的に読み、崇高な思いを巡らせ、そして何より、小さく、か細い良心の声に従って生きなければならないのである。
上向きの螺旋階段を登るように成長していくためには、より高い次元で学び、決意し、実行していかなくてはならない。

探求に終わりはない。すべての探求の最後は初めにいた場所に戻ることであり、その場所を初めて知ることである。-T・S・エリオット
他人と過去は変えられないけれど、自分と未来は変えられるのだ。プラス発想をすればプラスに人生に作用し、次々と良い出会いにつながっていく。-北原照久

アドラー心理学の本を読んだときに紹介されていて、また、日経新聞の書籍広告にもあったので気になっていて、図書館で借りてみました。初めの言葉で40ページ、導入で70ページと、第一の習慣にたどり着くまでに100ページ以上かかり、少しボリューミーな印象を受けました。「自分の運命を自分で切り開くための奥深いアドバイスを分かりやすく教える」との言葉通り、なるほどと納得できるものばかりでした。1989年の発行以来読み継がれ、日本では史上第一位の海外ビジネス書だそうです。今回、良かれと思ってとっていた自分の態度がLose-Winだったことに気づき、何を改善し、成長させていくべきなのかを知るためにも、まずは自分自身を客観的に見つめるところから始めないといけないと感じました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年2月12日
読了日 : 2023年2月12日
本棚登録日 : 2023年2月12日

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