殺戮にいたる病 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (1996年11月14日発売)
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感想 : 1263
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評判の高い作品だけに期待して読んだのだが、期待以上の作品だった。巧みなトリックを組み込んだ、かなりハードなサイコ・キラー小説。

東京の繁華街で猟奇殺人を重ねるサイコ・キラー、蒲生稔。非常に恐ろしい物語は、蒲生稔、蒲生敏子、退職した元刑事の樋口武雄の三人の視点で交互に綴られる。

犯人は最初から蒲生稔と判明しているので、元刑事の樋口が蒲生稔の兇行に如何にして終止符を打つのかというのが物語の大筋の流れである。しかし、その陰で次々と猟奇殺人を重ねる蒲生稔の狂気と惨劇の光景が非常にリアルに綴られ、それに目を奪われるためか、知らぬ間に著者の術中にはまっていく。

徹底的にサイコ・キラーを描き切った小説というと、海外翻訳小説には数多くあるのだが、日本の小説では余りお目に掛からない。最近の日本の小説だと誉田哲也の『ケモノの城』だろうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本
感想投稿日 : 2015年9月4日
読了日 : 2015年9月4日
本棚登録日 : 2015年9月4日

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