今年、読んだ本の中でピカイチに面白かった。ミステリー小説でもあり、冒険小説でもあり、恋愛小説でもある。本当に日本人作家が書いたのかと疑うほどの海外翻訳作品のようなダイナミックさと日本人作家特有の繊細さを併せ持つ傑作。ラストでは鳥肌が立った。
恐らく物語の核となるアンリ・ルソーの『夢を見た』というタイトルの絵画は作者の創作だろうが、絵画の下にもう一つの絵画が隠されている例は良く耳にする。それだけに設定に十分な説得力があるのだ。また、程良いテンポで物語が展開し、章を追うごとに少しづつミステリーが解き明かされて行くという構成も良い。
読んでいて、これほど最終章が待ち遠しくなる作品はなかなか無い。
表紙の装画の雰囲気にどこかで見た絵だと思っていたのだが、お気に入りのギル・ゴールドスタインのアルバムのジャケット装画『眠れるジプシー女』を描いていたのがアンリ・ルソーだった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本
- 感想投稿日 : 2014年8月18日
- 読了日 : 2014年8月18日
- 本棚登録日 : 2014年8月17日
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