死体は嘘をつかない (全米トップ検死医が語る死と真実) (創元ライブラリ)

  • 東京創元社 (2021年1月20日発売)
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感想 : 5
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ヴィンセント・ディ・マイオ&ロン・フランセル『死体は嘘をつかない 全米トップ検死医が語る死と真実』創元ライブラリ。

45年にわたり9,000件以上の事件を検証してきたという検死医が扱った幾つかの事件を描いたノンフィクションらしい。アメリカ版の上野正彦といったところなのだろうか。

読んでみると本当につまらない。事件の結末に正義を感じられなかったり、非論理的なアプローチで事件に決着が着いたり、何故今さらオズワルドやゴッホの遺体を解剖するのかなど疑問符だらけのトンデモな内容。上野正彦の著作のレベルを期待したら大間違い。著者の父親と自身の経歴やら略奪愛でモノにした女性と結婚したとのだとか自慢話と要らぬことばかりが仔細に描かれている。読んでみると、アメリカが如何に非常識で野蛮な国なのかがよく解る。

コンビニに買い物に行った黒人少年が正義感の強い白人男性に射殺された事件。最初に激しい暴力を振るったのは黒人少年で、白人男性は正当防衛を主張し、検死医もその状況に矛盾が無いことを立証したことから無罪となる。日本だったら白人は最低でも過剰防衛で間違いなく有罪になるだろう。未だに銃社会を正当化し続けるアメリカの病んだ一面が垣間見える事件だ。

乳幼児の連続変死事件の顛末。女性を犯人だと示す法医学的なアプローチが何も描かれておらず、犯人である確率がかなり高いことを示したところで、それが証拠になるのだろうか。全くアメリカという国は解らぬ。

本体価格1,200円
★★

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外
感想投稿日 : 2021年1月29日
読了日 : 2021年1月29日
本棚登録日 : 2021年1月28日

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