食べる日本近現代文学史 (光文社新書)

著者 :
  • 光文社 (2013年2月15日発売)
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本棚登録 : 36
感想 : 3
3

食べ物と文学の相性に関してはその良さは折り紙付きである。

食卓を囲むシーンに家族愛を投影し、男女間の愛情を示すにも、
食事が重要なファクターになることは誰にとってもナットクの落としどころである。

この本には食堂かたつむりから始まって先生の鞄、川端作品、かもめ食堂など、
とにかく読むだけでお腹が減るような作品がてんこもり。

何が一番素晴らしいかというと、筆者の正直さ。
驚くほどに筆者の腰が低く、自分が江國作品を好きでなかったこと、どのタイミングでそれが修正されたのかなど丁寧に語られ、意外とこれが邪魔をせずに筆者と読者の壁を崩す。
まるで誰かのおしゃべりを聞いているように楽に読み込めた。
どう食べ物が使われているか、以上に、ひとつひとつの作品についての筆者の意見が書かれているので、文学作品の指南書のスターターとしてもいいかもしれない。

ただちょっと不満だったのは、ピックアップされている作品が非常に狭く、種類も少ないのでもう少しテーマを絞って踏み込むなり、広く数を紹介してもらうなりの方が役には立った気がする。


ちなみに英語、たぶんアメリカ?の言い回しで、
相性の良さをチョコレートとピーナッツバターのケッコン、という表現もある。
日本人にはウエっ、という人もいるとは思うけど。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: さらさらりと軽く読めて、でも後悔はナシよ!の本
感想投稿日 : 2013年7月21日
読了日 : 2013年7月21日
本棚登録日 : 2013年7月21日

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