「過ぎたるは及ばざるがごとし」ということばを圧倒的な物量と熱量で押し切る、賃貸部屋の写真集。聞けばロードサイド撮影の写真集で作者は木村伊兵衛賞を撮った経歴もあるとのこと。そしかしたらその自信がまた、ものすごい勢いを作品に追加しているのか、息つく暇もない、とにかくものすごい畳み掛けである。
賃貸宇宙、というタイトルにあるように、確かにここが、地上であるとは信じられないほどの世界観。写真家のパワーがなにかをよんだのか、集まった写真はとにかく、息苦しいまでのモノと色に溢れかえって、画面をみっちり占拠している。
京都の学生寮あり、代官山のパーフェクトマンションあり、神戸・大阪あり。ページ組もバラバラで、たまに登場する住人もいるのだが、裸でポーズをとっていたりと、こちらもまた、さすがこの部屋の住人、という感じ。
1+1をひたすら繰り返すと、それはいつしか、足しあげたもの以上のなにかに化けるのかもしれない。
この写真集にはそんなことを思わせる、なにかが滲んでいる。そんな風におもった。
絢爛豪華でもない、百花繚乱でもないのにそこには確かに、なにかマッシブな量が存在していて、ブルータスやらポパイやらのお部屋特集には出せないなにかを、ぎゅうぎゅうとこちらに投げかけている。そんな感じだ。
スゴイ。確かに。でも正直、勧めるのは難しい。そんな本。異様な存在感。
読書状況:読み終わった
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すご本。でも、勧められない・・
- 感想投稿日 : 2014年3月22日
- 読了日 : 2014年3月22日
- 本棚登録日 : 2014年3月22日
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