犯人に告ぐ 下 (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社 (2007年9月13日発売)
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捜査の展開は悪くなかったけど、蓋を開けてみると犯行に至った背景が思いの外語られなかった。おそらく主人公である巻島の、過去との向き合い方を強く打ち出すためだったのかなと思う。ただそのせいで、途中の投書のやりとりや、無節操な裏番のキャスター、警察OBタレントの行動などなど、周辺人物が何を目的にしていたのかご想像にお任せのまま、宙ぶらりんで終わってしまった感がある。

なので想像するに、犯人といい昔の女を追いかける男といい、劇場型犯罪という大きな舞台装置に、ただ他人の気を引きたいという、人のもっている本性を投影させたかったのではないだろうか。
本当に必要なことだけを、寡黙に泥臭くやり続ける。巻島を通して学んだことは、そんな重々しい生き方の多難さだ。どれくらいそこに価値を見出せるか。SNSの時代だからこそなお一層考えるべきことだと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年6月6日
読了日 : 2023年6月6日
本棚登録日 : 2023年6月2日

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