窓から見える最初のもの

著者 :
  • 早川書房 (2017年11月21日発売)
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本棚登録 : 138
感想 : 25
4

 登場人物は4人。相澤ふたばは心療内科に通う短大生。藤倉一博は100年前に早世した画家の作品に魅入られた中小企業の社長。連城美和子は不動産会社の営業、喫茶店を買いたいと言っている長谷部が半年ほど物件を決めきれずその対応をしている。御通川(ミツカワ)進は自動車免許の更新に行くと、妻と小学生の娘と平穏に暮らしている自分に家出人捜索願が出されていると言われ、その後警察署へ出頭。

 この4人の話が7つのシーンとなって次から次へと場面が変わりながら彼らの置かれた状況が変化して行きます。4人の置かれている年齢、立場に何ら共通点の無いまま、30年前の大雪そしてその事を思い出させるかのような数日前の大雪、この事がトリガーとなり一気に4人が抱える「謎」が一点に集中しながらあっという間に解き明かされて行くような感覚を覚えた作品でした。

 色々なミステリー小説を読んでいく中で、どんな仕掛けが用意されているのか、そしてどんな風に謎解きがなされて行くのか?ただ受け身で読むのではなく、自分なりにこんな展開になるのではと予想しながら読み進め、「大雪」と言うキーワードを見た時、「来た!」と思いましたが、そんな簡単に謎解きの答えにたどり着ける訳もなく(笑)、作者の掌の上で弄ばれておりました。

 余談ではありますが、御通川(ミツカワ)進がミステリ好きの妻が熱心にミステリ小説を読みふけっている姿を見て「読書とは究極の現実逃避」と思う件は、熱心にこの作品を読んでいる自分と重なり、ニヤリとしてしまいました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年11月28日
読了日 : 2022年11月26日
本棚登録日 : 2022年11月27日

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