終末のフール (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2009年6月26日発売)
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読み終わってから、すでに3か月以上経ってしまった。

「今日を生きることの意味」を否が応でも考えさせられる小説で、なかなか思いが溢れてまとまらないわけですよ…と言い訳しつつ…

Today is the first day of the rest of your life.
今日という日は残された日々の最初の一日。

と言う、チャールズ・ディードリッヒ氏の名言が冒頭に引用されている。この言葉だけで深い。
我々には残された日々がどれくらいあるのだろう?

8年後に小惑星が衝突し、地球が滅亡すると予告されてから5年経過したヒルズタウンの住民を描く連作短編集。

凪良ゆうさんの「滅びの前のシャングリラ」は1ヶ月後の滅亡。こちらは8年後。設定は似ているが、こちらの登場人物たちはパニックを超えて人生を見つめ直している段階。達観しているところが違う。


さて、
「あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」
と言う問いに対し、あなたならどう答えますか?

僕は…正直、永遠に生きるつもりの生き方をしているなぁ、と思う。人はいつか死ぬのに死ぬことを意識した生き方ってしていない。
それが悪いことと言うつもりはないけれど、永遠に生きるつもりで後回しにしていることとかある気がする。
死を意識してこそ大事に生きられるものなんだろうな、と言うのは最近朧げながら見えてきた結論。どうやって死を意識するのかって言うのは難しいんだけど。

じゃあ、
「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?」という問いにはどう答えますか?

これも、難しい問い。
人は今まで生きてきたようにしか死ねない、と最近読んだ「エンド・オブ・ライフ」に書いてあった気がする。
だから根本的には「生き方は変わらない」のだろう。

でも、間違いなくジタバタするんだろうな。

この短編集は、そんなジタバタも包み込んで、

「生きてられる限り、みっともなくてもいいから生き続けるのが、我が家の方針だ」
「生きる道がある限り、生きろ」

と言ってもくれる。

考えてみれば、我々はみな、必死に足掻いて、もがいて、絶滅の危機を何度も乗り越えて、生き残ってきた者の子孫だ。

生きるってジタバタすることなんだ、と思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年3月15日
読了日 : 2020年11月28日
本棚登録日 : 2020年11月28日

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コメント 3件

さてさてさんのコメント
2021/03/15

たけさん、「終末のフール」、早速ありがとうございました!なんだか急かせてしまってすみません m(_ _)m
そうですかあ。八年後なんですね。凪良さんの一ヶ月後とは随分と開きがありますね。どちらがいいんだろうって、どちらも嫌ですが、実生活において、例えばある病気で余命一ヶ月と言われるのと、余命八年だとその先に描かれるものは全く違ってくるようにおもいます。これは、読んでみたいなあ!と強く思いました。
読んでみようか、どうしようかで、当面ジタバタすることにします(笑)
いずれにしましても、どうもありがとうございました!

たけさんのコメント
2021/03/15

さてさてさん。

そうなんですよ。
1か月と8年、人生との向き合い方は変わってきますよね。
レビューに書き忘れたのですが、読む順番は「滅びの前のシャングリラ」→「終末のフール」がおすすめなんだと思います。深く理解できる気がします。

さて、さてさてさんは自らの制約の前でジタバタするわけですね(笑)
健闘を祈ります(笑)

さてさてさんのコメント
2021/03/16

たけさん、ありがとうございます。
私の場合、読む順番的には大丈夫という感じですね。良い情報をありがとうございます。
あとは、自分自身との戦いでジタバタしたいと思います。なんだか、シュールな気もしますが(笑)
どうもありがとうございました!

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