これは、問題作だな…
ニルヴァーナとは、涅槃のこと。智慧を磨き修行を積んで、迷いや煩悩や執着を断ち切り、悟りに到達して、いっさいの苦・束縛・輪廻から解放された最高の境地。
タイトルは、その境地への執着を断ち切り、苦しみ悶えながらも地に足をつけて生きていくことを宣言するものだ。
だけど、う〜ん…
神戸連続児童殺傷事件の犯人を彷彿させる少年Aを取り巻く煩悩たちの物語。
救いたいものを救えないもどかしさと諦念が全編を覆う。やるせない読後感だ。
どの登場人物にも感情移入ができなかったが、黒いワンボックスは憎まずにいられない。
心の体力が落ちている時は、読んではいけない本かもしれません。
♪Smells Like Teen Spirit/Nirvana(1991)
窪さんは「ニルヴァーナのカート・コバーンのショッキングな最期と少年Aのイメージが私の中では結びついていた」というけれど、僕の中ではカートはかの少年Aともこの小説の少年Aとも結びつかなかった。全く違う。
だから、本音を言うと、タイトルには複雑な思いもある。少年院の院生が少年Aにニルヴァーナを聴いたことないかを聞くシーンは、ストーリー的に必然性があったのか、疑問に思った。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年7月6日
- 読了日 : 2023年7月6日
- 本棚登録日 : 2023年7月6日
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