新版 枕草子 下巻 現代語訳付き (角川文庫 黄 26-2)

  • KADOKAWA (1980年4月15日発売)
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本棚登録 : 188
感想 : 10

上巻に続いて、百二十八段から最終段までと跋文を収録。全段一括して原文と脚注を前半部にまとめ、続いて補注を挟んで、後半部に現代語訳と付説を記すという順序でパート分けしている。さら巻末には年表と語彙索引まで付いている。

この至れり尽くせりの内容は、文庫本にして単行本で出ている古典全集に負けないくらいの充実ぶり。そして、上巻のレビューでも述べているように、洗練された現代語訳が最高。訳注者である石田穣二先生ならではの名訳だと思う。

同様の注釈本や現代語訳付きの本は他社の文庫からも出ているけれど、最も読みやすいのはこれだろう。また、『枕草子』には、大別して4種類の伝本が存在するので、比較的簡単に入手できる能因本の『枕草子』などと読み比べてみるというのも、『枕草子』をより深く楽しむきっかけとなるだろう。

なお、本の表紙に『新版 枕草子』というタイトルが記されているのは、その前身が昭和40年に発行された『枕草子』(松浦貞俊・石田穣二訳注:角川文庫)だから。とはいっても、三巻本系統を底本とする『校本枕冊子』(田中重太郎著・古典文庫)を典拠としているところが同じ、つまり原文が同じであるというだけで、それ以外の部分は新たに見直しがされているし、現代語訳はより原文に忠実なものになっている。個人的には『枕草子』訳注本として、大好きな作品の一つ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 『枕草子』&清少納言
感想投稿日 : 2011年2月9日
読了日 : -
本棚登録日 : 2011年2月6日

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