歴史とは何か (岩波新書 青版 447)

  • 岩波書店 (1962年3月20日発売)
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本棚登録 : 3190
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歴史とは、過去から続いて未来へ向かう時間の動的な動きの中で、ある目的に関連し且つ重要と思われる出来事を前後の関係性と共に並べた物であり、すべての事実が歴史になるわけではなく、また無闇に抜き出した事実が歴史になるわけでもない、というのが本書の主旨だと思うが、いやー、冗長。
この講演がなされた時は新奇な発想であり、劃期的な発見であったのかも知れないが、現代を生きる人には正直「何を今更」という感想しか湧かないと思う。
その内容を個別個別の歴史家や神学者、哲学者を挙げて甲はこういった、乙はこういった、丁はこいった、と挙げていって、批判するのかと思ったら、しない。いや、もしかしたら原文ではもっとはっきり批判しているのかも知れないが、少なくともこの訳本はすごくらわかりにくい、個人的に。そのため、読んでいて「私はトマトがすきであるが、甲は嫌いと言っていた。乙はトマトの赤がきになるようだ。丁は……」みたいなどうでもよい紹介文が延々続くようにしか思えず、大層疲れた。
興味深い話もあるにはある。個人的には第四章が面白かった。そのほかの章にもところどころおもしろい話はあったが、割合的にはそうでもない。そもそも英国人のアイロニーみたいなのも期待していたが、翻訳の時点で削がれたか、原文になかったか、自分が気付かなかったのか、みつけられなかった。
概して、名著として学校の授業でも紹介されたその理由がよくわからない。学校の先生、特に歴史の先生は読んだことあるのだろうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 岩波新書(緑)1949
感想投稿日 : 2023年7月25日
読了日 : 2023年7月31日
本棚登録日 : 2023年2月17日

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