「人工超知能」 -生命と機械の間にあるもの-

著者 :
  • 秀和システム (2017年7月26日発売)
3.29
  • (2)
  • (6)
  • (6)
  • (1)
  • (2)
本棚登録 : 88
感想 : 15
4

AIに対するこれまでの発展の事実と、これからの発展の期待と想像がまとまった一冊。

前半部は、AIの歩みがわかりやすく書かれている。AIにできること、得意なこと(論理的思考、記号的アプローチのように、デジタルで表せることとか。何か一つ(囲碁とか)に特化して鍛錬を積んでスペシャリストになることとか。※鍛錬は人間ぽい言葉だけど、要は膨大な情報を勉強して最適解を導くこと)とか。
ディープラーニングを、「機械が眼を持つようになった」と表現されていたのは秀逸だなと。素直にすごい表現だと感じた。確かにその通りだと。眼があることによる汎用性は計り知れないと思う。画像の識別とか、センサーとか。
眼の獲得からの生命の爆発的な増加になぞらえたこれからのAIの発展には、ワクワクする。
最初は教師あり学習しかできなかったのが、報酬(このスコアを上げよ、とか)を与えるだけで放っておけばメキメキ上達するようになってきて。人がゲームをやり込んでいろんなパターンとか経験とかを積むと、技に気づいて使えるようになって上達するみたいな直観のようなことができるようになったり。
ちなみに僕は、人間とAIの融合は賛成派なので、どんどん融合して便利になってほしいと思う。

後半は未来の話になっていくこともあり、だんだん哲学的になっていった。
まだ人間の脳や思考が完全に解明されていないので、今ある技術から予測するしかないので仕方ないが、なかなか難解だった。

AIは人間の知性を超えられるか?AIは反乱を起こすか?AIに感情は芽生えるか?AIは欲望を持つのか?AIは意識や意思を持つのか?
もはや誰の意見が正しいとかないと思うけど、僕個人としては、全部Yesな気がしている。
人が想像しうるものはすべて実現する、といったら大袈裟だけど、そんな感じ。
「一人の人間が一つのAIを作ってその人間を超えること」はなかなか難しい気がするけど、多数の人間を学習してその人間たちより少し優れた存在になることはできる気がする。(AIだけじゃなく、人間にも言えることだから)
反乱は、そういう報酬系をインプットする人間が一人でもいれば起きるだろうし、いつか世界のどこかでは起こりうると思う。その時は・・・どうするんだろうなぁ。笑
感情、欲望、意識、意思は、環境と生育によって芽生えていくものだと思っている。そういう(人間的な)報酬系をインプットした上で、しばらく人間生活に近いことしてれば、学習する気がする。人間の中にも喜怒哀楽表現が下手な人もいるし、後天的に身につける人もいるし、それと似たようなイメージ。
ただし、"人間的な報酬系"をインプットしないといけないとは思っていて、さすがに人間の遺伝子情報がインプットされてない状態で感情に目覚めろというのは難しいのかもなぁとは思う。赤ちゃんでも笑ったり泣いたりできるから、そういうのは遺伝子にインプットされてるのかなぁと。
倫理的にやれるかどうかはあるけど、技術的にはできるようになるんだろうなぁと思っている。もはやクローンみたいなものだし。笑

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年9月3日
読了日 : 2018年8月30日
本棚登録日 : 2018年8月30日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする