東大在籍中にデビューした大江健三郎の初期作品集。
どっちかというと長編を好んで読むタイプで(司馬党なのでね…)あまり短編集を読まないし、読んでもなかなか満足できないことが多いのですが、これは全部よかったです。
充実した読書時間になりました。
重くて暗くて、とても読みやすいとはいえないし、オススメはしないけど。(褒めてます)
「監禁されている状態、閉ざされた壁の中に生きる状態を考えることが、一貫した僕の主題でした」は、大江健三郎本人の後書き。
生きるってある意味そーいうことだよね、と わたしは平和ボケした頭で考えたんだけど、「占領下」という時代背景を突きつけられたとき、足元が一気に崩れるような絶望感に陥りました。
大江健三郎の表現力とか文体とか思想だとかより、占領下という気持ちの悪い時代のことが強烈に心に刺さります。
主題は非戦ではないようですが、わたしは戦争の悲惨さがつくづく身に沁みました。
刀しかなかった幕末においてでさえ、列強からの占領だけは許さなかった日本なのに…
とか、こーいうことをぐちぐち考えだすと、また坂口の堕落論を読みたくなるんだ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本近代
- 感想投稿日 : 2023年7月1日
- 読了日 : 2023年6月30日
- 本棚登録日 : 2023年6月25日
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