宴のあと (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1969年7月22日発売)
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本棚登録 : 1860
感想 : 168
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繊細な描写が全体として印象的だった。かづが野口と恋に落ちるまでの流れも、感情を直接的に表現する言葉はあまりないのにすごくリアルでドキドキした。選挙戦に入ってからは、初めは本当に「野口のため」だったかづの活動が徐々に「かづ自身が輝くため」に移行しているように感じられ、かづが離縁を選ぶまでの流れもとても自然に読み進められた。一方の野口がかづの返答に対して憎しみの感情を現す場面では、彼が心から、かづとの穏やかな老後を夢みていたのだろうと思えて切なくなった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年8月14日
読了日 : 2021年8月14日
本棚登録日 : 2021年6月3日

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