密室殺人ゲーム王手飛車取り (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2010年1月15日発売)
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本棚登録 : 3956
感想 : 378
5

星4.9

不定期的に読み返す大好きな作品。

抜群に面白い、ほぼ完璧だと思っている。


何の恨みも無く、あくまでゲームを愉しむためだけに平気で人殺しをする登場人物たち。
そんな感情移入できるわけのない人物たちなのに、会話がとんでもなく軽く、かつ推理する問題が面白くて、まるで自分も一緒になって参加している気になり、挙げ句、彼らに愛着らしきものまで湧いてしまうからすごい。面白い。

Q1
早速、殺しすぎ。それが彼らのイカれ具合と軽さを手際よく示してくれている。
構成上、一問目、つかみとして最高。
じっくりページ数を使って、少しずつ真相に近づいていくから一緒に考えさせてくれて、イカれたメンバーに加わったような錯覚を起こした。

Q2
感想戦。面白い。
途中出てくる表現だけど、一人で愉しめるものを共有するのって、こういうやりとりがあるからだよなーって…また共感してしまってる。こんな頭のおかしな連中に。面白い。

Q3
インパクトのある殺人。
個人的にはトリックが一番面白かった。

Q4
もうこの段階で5人のキャラが完全に確立してる。
キャラ立ち、素晴らしい。
だから愛しくすらなってしまう…

Q5
出題者から出された情報から推理する、というルールに読者ものっかる形で構成されていて、そこも読書を没入させることに効果的だったわけだが、この章では「コロンボちゃんが小説を書いてヒントとして提供した」ことにより、その構成のルールを破らずに雰囲気をガラッと変えている。
ここだけ別作品、のような。
すごい。上手い。面白い。

Q6
究極の犯人当てはこのあとすぐ!
この題。これはたまらない。
ここまでのフリの効かせ方。そしてこの先へフリを効かせている。すごい。

Q7
5人の素性が遂に、の章。
驚き2段、いや3段構え。
中盤、序盤から仕掛けていたのかと。圧巻。
ここで読み進める手が止まる人はいない。はず。

Q8
どうしたって人として圧倒的に間違っている。
間違っている者たち。なのだが、一応、人間としての一面があって。ちゃんと実在していて。
彼らもきっとそんな感情、と同時に私もそんな感情になる結末。



一つ一つの殺人がきちんと立っている。
ショートショートのような。
それでいてフリを効かせた驚きを散りばめて終結へ向かう。完璧でしょう。

あと歌野作品は、無駄が無い。
だから止まらない。
完全エンタメ特化型だと思ってる。
だから好き。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年11月25日
読了日 : 2022年11月25日
本棚登録日 : 2022年11月25日

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