ソマリアの砂漠で遊牧民として育ったワリス・ディリーの追憶記『砂漠の女ディリー』の続編である。
13歳の時に伝統に沿ってラクダ数等との交換で結婚させられそうになり、砂漠の生活を捨て、紆余曲折の末に世界のスーパーモデルとなったワリスは、その絶頂期にあったとき、自身がいわゆるFGMを受けていたことを告白した。それがきっかけで、その後女子割礼の廃止を訴えるために国連大使となる。
ニューヨークでの文化生活に自分でも気づかぬうちに疲弊していたワリスは、『母にもう一度会いたい』という思いから、一度は捨てた祖国、家族を訪ねてソマリアを訪問した。これはその時の記録である。
一度ソマリアを離れたからこそ西洋との比較で明確になった祖国への愛、悪しき慣習に対する経験者としての強い思いが、彼女の強さや健全な勇気とともにアフリカ人らしい明るさで描かれている。
自然の過酷さのなかで、必要最小限だけを持ち、日々感謝しながら生きることの美しさと、祖国ソマリアの太陽・空・大地に対する深い愛が、何とも言えず素晴らしい。
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- 感想投稿日 : 2020年12月30日
- 本棚登録日 : 2020年11月7日
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