殺人出産 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2016年8月11日発売)
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感想 : 655
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村田さんの作品を読んでいるとその根底にはいつも今の家族制度への疑問を強く持っていることがわかる。
恋愛と結婚を別として考えているのだ。

たしかに、60代70代になっても尚互いのことに恋愛感情を持っている夫婦の方が、普通ではないと正直思ってしまっている自分がいることに気がついた。
「不倫こそ悪」だと言わんばかり、日常茶飯事に芸能人の二股だの、不倫だののスクープが出されて、徹底的に世間は叩く。
不倫が起きるのも、恋愛と結婚を結びつけると上手くいかなくなることが多いからであると痛感させられた。

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トリプルでの圭太の一言がこの短編集を総括するような言葉に感じた。
「真弓は清らかだよ。きっと真弓もお母さんも、友達も、三人とも清らかだよ。だから他人の清潔な世界を受け入れることができないんだよ」
「殺人出産」でも、「トリプル」でも、「清純な結婚」でもそれぞれが思う常識があり、それこそ清らかな世界だと思っている。
だからこそ自分とはちがう常識を持っている人を受け入れることができないんじゃないかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年3月20日
読了日 : 2021年3月20日
本棚登録日 : 2021年3月20日

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