図書館内乱 図書館戦争シリーズ (2) (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2011年4月23日発売)
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感想 : 1184
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◎ ブクログ秋の特別対談 さて子 × さてさて(にわか読書家)

小説を愛し小説家を愛する、ブクログきってのにわか読書家にして感想家でもある一般人・さてさてと、『図書館戦争』シリーズの生みの親・有川浩さんの大ファンなのにこのシリーズだけは読んでいないという さて子の対談が前回「図書館戦争」での大好評を受け、この度その二度目が実現しました。では、早速いってちょんまげ!

さて子〈さてさてさんお久しぶりです。また、お会いできるなんてとても光栄です!〉
さてさて〈私もこの企画で二回も呼んでいただけて、とても嬉しいです〉
さて子〈前回は有川さんの作品を読み始められたばかりだったと思うんですが、その後他の作品も読まれましたか?〉
さてさて〈はい、これまでに15作品を読ませていただきました。一番印象に残っているのは「旅猫レポート」ですね。いやあ、男泣きをさせていただきました〉
さて子〈私もさてさてさんのレビューを読ませていただきましたが、気持ちが溢れていましたよね〉
さてさて〈お恥ずかしい限りです。レビューには、あまり感情が出過ぎないようにとは思っているんですけどね〉
さて子〈(よく言うよね、この人の感想、感情べたべたじゃない。やたら、長いし…)〉
さてさて〈何かおっしゃいましたか?〉
さて子〈べ、別に、な、何でもないです。えっと、じゃあ行数が長くなっても、読者の方に読み飛ばされてしまうので、まずはこの作品がどんな内容なのか簡単に説明していただけますか。私、この作品まだ読んでいないんです〉
さてさて〈はい。この作品は「図書館戦争」の続編です。主人公は前作に続いて『本を読むのは昔から好きだった』という笠原郁です。そんな郁が関東図書隊に入隊して『図書館の自由』を守るために活躍し始めるというのが前作だったと思いますが、この作品では、郁のその後が描かれていきます。
さて子〈何か事件とかが起こったりするんですか?〉
さてさて〈はい。まさしく冒頭から郁にとって『入隊以来最大の個人的ピンチ』が訪れるんです〉
さて子〈いきなり山場なんですね。何があったんですか?〉
さてさて〈Mission: 親に戦闘職種配属を隠し通せ!〉
さて子〈えっ?意味不明なんですけど?〉
さてさて〈郁の『両親が勤め先の図書館を見学に来るという突発事態が発生』したということなんです〉
さて子〈両親が娘の職場見学なんて聞いたことないですけど、優しい両親っていうか、まあ良い話じゃないですか〉
さてさて〈それが、郁は自分が『戦闘職種』に就いてるって両親には伝えていないんですよ。もしバレたら…〉
さて子〈退職させられるってことですか。それはまずいですね〉
さてさて〈でしょう。寮が同室の柴崎麻子は『寝ながらうなされてた』と証言してますからね〉
さて子〈それでどうやってカモフラージュしたんですか?〉
さてさて〈事務職員だとごまかすために図書館のシフトに入って、カウンター業務をやることになったんです〉
さて子〈でも慣れないとボロって出ますよね〉
さてさて〈そうなんです。先輩から指示を受けたら普段の癖で『ハイッ』と敬礼してしまったんですよね。『アホか貴様』と叱られて『敬礼はなし敬礼はなし』と頑張るんですよ〉
さて子〈健気ですね。郁ちゃん可愛い。それで最後までバレなかったんですか?〉
さてさて〈えっと。それがですね。二日目にお父さんが来て…〉
ブクログ編集部〈しゃ、喋ってはいけません。さてさてさん!それ以上はネタバレ!です〉
さてさて〈きゅ、急に出てきてビックリさせないでくださいよ。あなた誰ですか。しゃ、喋りませんよ。この作品は連作短編のような構成になってますからね。まあこの先喋ると最初の短編のネタバレにはなっちゃいますね。でも、その後もこのシリーズ続いているわけですから、結果はわかっちゃいますけどね。まあ、いいです、はいはい〉
さて子〈すみません。私が誘導しちゃったのがいけなかったです。気をつけます。ところで、作品全体の印象として何かありますか?〉
さてさて〈はい。前回も言ったので、またか、と言う方もいるかもしれませんが黙っていられないので言わせてください。それは、有川さんの文章、難しい言葉多すぎ!ということです〉
さて子〈読めない漢字が出てきて、辞書を片手に読んで面倒だったんで憤慨してるってことですか?〉
さてさて〈いえ、ルビは振られてるんですよ。でもね、どうしてわざわざ判別できるかできないかレベルの小さいルビをふってでもこんな難しい言葉を使うのかなあと思うんです〉
さて子〈例えばどんな言葉ですか?〉
さてさて〈傾いだ・喚く・濃やか・嘯いて・窘める…ってそれぞれ読めますか?意味分かりますか?〉
さて子〈あああ、いーっ、う〜ん、えーっと、おろおろ〉
さてさて〈なに、あいうえお、で遊んでるんですか。ごまかさないでください。読めないでしょ?これね、かしいだ・わめく・こまやか・うそぶいて・たしなめる…って読むんだそうです。たまたま読めても意味分かりますか?漢字検定やってるんじゃないんだから、勘弁していただきたいです〉
さて子〈でも、それも含めて作品の魅力ですよね〉
さてさて〈もう、そう言われたら何も言えませんけどね。唐突ですが、湊かなえさんってご存知ですか〉
さて子〈はい。「告白」が有名な方ですよね?〉
さてさて〈はい、私もレビュー書きました。それで有川さんと湊さんってプライベートでかなり仲が良いそうなんですよ。それぞれのエッセイでお互いのことを色々と書かれているくらいですから〉
さて子〈そうなんですか〉
さてさて〈はい。それで、湊さんは自身のエッセイで『小説を書く際、自分が書けない、読めない漢字はなるべく使わないように心がけている』と書かれてるんです。多分、有川さんもこのエッセイ読まれているはずです。まあ、もしかしたら有川さん、漢字検定一級お持ちなのかもしれないですけどね。だから有川さんがどうこうというわけではないんですけど。それぞれの持ち味、魅力というのも確かにあるので。でもね。この作品の内容的にこんな難しい言葉がどうして登場するのかなあ、とはどこまでいっても思います〉
さて子〈はい、おっしゃりたいこと分かる気がします。普段使わない言葉って頭にスーッと入って来ない気がします。う〜ん、なかなか難しいですね〉
さてさて〈はい。漢字ということで言えばレビューを書く時に私のレビュースタイルだと書きづらいという個人的な問題もありますけどね。変換しても出てこなかったりで大変なんです(笑)〉
さて子〈なるほど。では、すみません。行数がかなり多くなってきたので、先に進めたいんですけど、この作品でほかに何かありますか?〉
さてさて〈はい。この作品で一番印象に残ったことがありますので、それを話させてください。この作品、小説内小説が登場するんです〉
さて子〈小説の中に小説が展開するというものですね?〉
さてさて〈そうです。ただこの作品では展開するとまではいきません。というのも内容が書かれているわけではありませんから。それで、その小説というのが「レインツリーの国」という書名で『難聴者』のヒロインが登場する恋愛小説なんです〉
さて子〈なんだか、とても素敵な書名ですね。書名だけで読みたくなるタイプの作品かも〉
さてさて〈同感です。「図書館内乱」の中では、聴覚に障がいのある中澤毬江という少女が登場するんですけどね。ある隊員が「レインツリーの国」を彼女に読むように勧めたことが問題になるんです。『中澤さん耳が悪いのに、難聴のヒロインの本を勧めるなんてちょっと無神経じゃない?』という感じで〉
さて子〈彼女自身はどう感じていたんですか?それが一番大切な気がしますけど〉
さてさて〈はい。そこがクライマックスに至る重要なポイントなんですよね。ある日、彼女が…〉
ブクログ編集部〈ピー!ピー!ダメですって。感動的なシーンを喋ってしまっちゃだめでしょう。何やってるんですか。ネタバレしたら、今日のギャラお支払いできなくなりますからね〉
さてさて〈えっ、勘弁してくださいよ。せっかく妻にバレないへそくりにしようと思って楽しみにしてるんですから〉
ブクログ編集部〈じゃあ、気をつけてください。”ネタバレと二度漬けは禁止ですからぁ!”〉
さて子〈あっ、言っちゃった!それって、さてさてさんが特許申請中なんですよー。ダメですよー。さてさてさんの持ちネタとっちゃあ!〉
さてさて〈ひどいです。今日、私、もう笑いが取れなくなっちゃったじゃないですか!帰りたいっ!〉
ブクログ編集部〈大変失礼いたしました。申し訳ありません。今日のギャラ、三千円増やしますから〉
さてさて〈ありがとうございます。最近、本を買うお金がキツキツなんで三千円はありがたいです。さて子さん、続けましょう〉
さて子〈機嫌が直られたようで良かったです。話を戻しますが、その「レインツリーの国」ってどんな作品なんですか。とても気になります〉
さてさて〈それがですね。有川さん、この「図書館内乱」を書かれてすぐに、その書名そのままの作品を出版されてるんですよ。あとがきでも『興味を持ってくださいますように』って書かれてます〉
さて子〈そうなんですか。さすが有川さんですね。出版社も有川さんならすぐに出してくれるんですね〉
さてさて〈それが、この作品とは出版社が違うんですよね。まあ、色々あるんでしょうけど。ところで、私もとても興味が沸きましたので「レインツリーの国」、読みたいと思ってるんです。というか、もう買っちゃいましたけどね〉
さて子〈そうなんですか。じゃあ、レビューを楽しみにしてますね〉
さてさて〈はい。頑張ります!〉
さて子〈かなり長くなってきたので、そろそろ終わりにしたいと思いますが、この作品はラブコメとして有名ですよね。この点では何かありましたか?〉
さてさて〈前作に比べてキュンキュン♡する感じは少し抑えられていたように思いました。そもそも主人公の郁が隊員になろうと決意したのが、本が好きという理由の他に、かつて『高校生の頃、図書隊員の人に助けてもらったことがある』、その助けてくれた人のことを『王子様』と思って、キュンキュン♡というのがこのシリーズのベースにあって、それがこのシリーズのラブコメ要素を支えているんだと思います〉
さて子〈なんだか、ラブコメをそんなに難しく語られても、ラブシリのようですね〉
さてさて〈なんですか、ラブシリって?〉
さて子〈ラブ・シリアスです〉
さてさて〈意味不明です。とってつけたこと言って早くこの対談を終わらせようとしてませんか?〉
さて子〈まさか、私、さてさてさんの大ファンなんですよ。いつも、さてさてさんのレビューがアップされたら、3秒以内に『いいね!』をカチカチって二回押してるんですから〉
さてさて〈えっ?二回押したら、『いいね!』が外れるじゃないですか。そこはダブルクリックするとこじゃないでしょう。そうか、だから、あなたの名前、『いいね!』リストの中で見たことがないんだ〉
さて子〈えっ?そうなんですか?知らなかったです。ショックです。ごめんなさい。今度から十回押すようにします!〉
さてさて〈いや、それだと、結局外れちゃうでしょう。一回でいいんですよ。カチッて〉
ブクログ編集者〈お二人とも、いい加減にしてください。ここはプライベートなことを話す場じゃないんですから。何を無駄に行数使っているんですか!もうギャラは半額に決めましたから〉
さてさて〈いやいや、それはないでしょう。こうやって拘束してるんだから。冗談じゃないよ、参ったなあ、もう〉
さて子〈すみません。また私のせいです。とにかく、もうこれ以上長くなると、誰も読んでくれない無残なレビューが出来上がるので締めましょう。こういうぐだぐたな展開を締められるのは、さてさてさんしかいません。さてさてさん、よろしくでちょんまげ!〉
さてさて〈無茶ぶりだなあ。まあ、仕方ないか。この作品は有川さんが『図書館の自由に関する宣言』をお知りになったことから生まれました。それは、将来この国に訪れるかもしれない一つの危機を描いたという側面を持っています。主人公の郁は『検閲のある社会しか知らない』という環境で生まれ、育ちました。そのため『検閲のない社会ってどんなふうだろう』という感覚を持っています。そして、そのことをいつも胸に抱いて図書隊員として活動しています。この作品は図書館を舞台に派手なドンぱちが繰り広げられるなど、荒唐無稽と言ってしまえばそれまでとも言える作品世界が展開しています。我々が暮らす世界からすると、それは全くの絵空事の話とも言えます。しかし、ここ何十年かの世の中の動きを振り返ると、それを異世界の話と簡単に突き放せる状況でもなくなってきているような気もします。”言葉狩り”というかつては存在しなかった言葉が生まれたりもしています。『本が狩られない世界。読みたい本が自由に読める世界。本屋さんが検閲にびくびくしなくていい世界』。今、我々が当たり前としている自由な世界が、気づいたらすでに手遅れになっていた、という自由が失われた時代にならないという保証はありません。『図書館が武装しなくていい世界』、それは我々が読みたいと思う本をいつでも自由に読むことができるという、今の我々には当たり前の環境です。そんな『図書館の自由』が守られる時代が未来に続いていきますように、そんなことを願ってこの対談を終わりにしたいと思います。いつもながら長いレビューを最後までお読みいただきありがとうございました。さてさては、今後とも皆さんに、長くても読んで良かったと感じていただけるような、そんなレビューを書き続けていきたいと思います。本日もどうもありがとうございました!〉
さて子〈えっ、最後まで締めちゃったんですか。私の出番が…えっと、皆さま、どうもありがとうございました。またのご来店をお待ちしております〉
さてさて〈ちゃうやん。ここお店ちゃうから〉
さて子〈またねー (^^)/~~~〉

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 有川浩さん
感想投稿日 : 2020年10月17日
読了日 : 2020年10月3日
本棚登録日 : 2020年10月17日

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コメント 4件

奏悟さんのコメント
2020/10/23

声を出して笑ってしまいました。
いつもレビュー楽しみにしています!

さてさてさんのコメント
2020/10/23

奏悟さん、こんにちは!
いつもありがとうございます。
お褒めいただき光栄です。本人も楽しみながら書いているのでいいのですが、読み返すとこれが公に公開されていると思うと恥ずかしいといえば恥ずかしいです(笑)
今後ともよろしくお願いします。

奏悟さんのコメント
2020/10/23

さてさてさん、こんにちは。
さてさてさんのレビューは私の隙間時間や、就寝前の楽しみで、読み終わる頃にはまるで1冊の本を読み終えた満足感でいっぱいになります(笑)
こちらこそ、これからもよろしくお願いします。

さてさてさんのコメント
2020/10/23

奏悟さん、ありがとうございます。
光栄なお言葉ありがとうございます。さて子も喜んでいると思います(笑)
対談企画はやりすぎると皆さんも飽きられると思いますので、また時期を開けてやらせていただきます。ネタを考えないといけませんし。
奏悟さんに、コメントいただいて俄然やる気が出ました。
こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします。

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