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著者 :
  • 新潮社 (2017年3月22日発売)
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本棚登録 : 5822
感想 : 399
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時代、場所関係なく、どこにでもいるような高校生5人グループの数ヶ月間の日常を抜き出したストーリー。大きな事件が起こるわけでもなくあくまで淡々と普通の毎日を描いていきます。

この作品では、5人の登場人物の心の内に順番に光を当てていきます。ぼく、わたしとバトンを渡すようにストーリーを繋いでいきます。そんな中で面白いと思ったのはバトンを渡す前に見えていた彼、彼女、近づきがたい存在にも見えていた彼、彼女の側に立つと不思議なくらいに彼、彼女に感情移入できてしまうところでしょうか。人には色々な感情の表し方、受け取り方がある。見る方の感じ方、見られる方の感じ方、そして人と人の組み合わせの数だけ感じ方って違いがあるんだなと。また、人によって同じような情景を見ていても見える世界がこんなにも違うんだということ、人によって時間の流れ方がこんなにも違うんだということ、日常を淡々と描いた作品だからこそ、色々な発見がありました。これは素直に面白かったです。

どんな結末になるのだろうとページ数が少なくなるに連れて予想しましたが、書名の終わり方そのものでした。でもどこかしらそれを期待していた自分がいました。それもあって、もの凄い余韻感がしばらく尾をひきました。

もしかしたらリアルタイムでこの作品のような世界を過ごしている高校生の方には今は楽しめない作品かもしれません。でもいつか、この作品面白いね。似たような奴いたいた、でもね、もっとね、と楽しく語れる日がきっと来ると思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 住野よるさん
感想投稿日 : 2019年12月5日
読了日 : 2019年12月5日
本棚登録日 : 2019年12月5日

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