殺人出産 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2016年8月11日発売)
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感想 : 655
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凄い話ばっかり。
4遍とも生死にまつわる話。
聖書は同性愛を否定していたけど、最近は同性愛を否定するほうが怒られたりする。
もっと新しく出てきた概念、アセクシュアルやパンセクシュアルは中立的意見の人がほとんどだろう。
そして短編で描かれたポリアモリー(複数人との同時交際)はまだ批判的に見られている。

このように恋人との関係でも時代によって受容ラインはどんどん変化している。
同性愛がこれほどオープンになるとは、100年前どころか10年前でも考えられなかった状況だ。このぐらいの速度で意識の変革が起こりうるなら、ポリアモリーが一般的になる時代も来るのではないか?と思い至るのは自然なことだろう。
だって今は結婚して同姓になるとも限らないし、男に生まれた人が女として、あるいは性別のない人間として生きていくこともあり得るのだ。性的行為を家庭に持ち込まない夫婦関係も、もしかしたら既にあるかもしれない。

現在の私たちが行なっているポリコレ的な思考のブラッシュアップが行き着く先はどこなのか?その感覚についていけない側の意見を無視し続けた結果がこれなのかもな。
いまのご老人からしてみれば現代社会ってこれくらいグロテスクに見えてるんかな。


「殺人出産」
命を扱う思想はどんどん変化している。
死刑が合法だったり違憲だったりするこの世界で、「10人産んだら1人殺してもいい」思想が出てこないとも限らない、本当に。
それが社会システムの柱となるにはよほど生死に纏わる大事件が重なるとかしないと無理だろうけど…。

倫理観ってまじで大事に育てていきたいな。

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感想投稿日 : 2021年1月11日
本棚登録日 : 2020年9月29日

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