ボトルネック (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2009年9月29日発売)
3.32
  • (556)
  • (1322)
  • (1792)
  • (683)
  • (159)
本棚登録 : 13759
感想 : 1482
5

10年くらい前に読んでまた読みたくなった話。
自殺の名所東尋坊で死者に誘われたような話。
一文一文が短いためペース良く読めるが、内容はかなり暗い。始終、曇天のような雰囲気が漂っている。

東尋坊を訪れた主人公が、何かに誘われるようにそこから落ちた…先がぼくが生まれず、姉、サキが生まれていた世界。
流されるばかりで何もしなかったぼくと、お節介な性格なサキとでは、岐路となる所での選択が変わり帰結するところも違っていた。

何もしない事が悪い事とは思わないし、子どもである彼らにできる事なんて限られているから、仕方ないとも思う。
でも、呼び込まれた世界が、何もかも上手くいっている理想の世界、だった。
ぼくが感じた絶望はどれほどだったか…。
環境のせいに出来ず、どんどん追い込まれていく。
最後自分の世界に戻った時に送られるサキの電話と母からのメール。
ここも大きな選択の一つになるだろうが、ぼくがどちらを選んだのか結果が書かれていない。
後味が悪い作品でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年3月23日
読了日 : 2023年3月23日
本棚登録日 : 2023年3月23日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする