新参者 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2013年8月9日発売)
4.10
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本棚登録 : 12620
感想 : 722
5

加賀恭一郎シリーズの8作目の作品。
今回は主人公加賀が日本橋署に移動しての物語。「新参者」というタイトルもピッタリの内容。

作品は連作短編集なのだがこれ程迄の連作っぷりはなかなかないのではと思う。一つの殺人事件が作品の軸になっておりそれに纏わる関係者達の短編集になるのだが幾人もがこの事件を通して心を洗われている。それを見事に描かれている。
凄いと思った。

日本橋署に移転に伴い、その街の特性を色濃く描写している。街の情緒や風習、下町ながらの人間の育ちや独特な愛着感や佇まいや賑わい等を散りばめながら、人間の持つ人情的な話を中心にまとめ上げた一冊のミステリーなのだと感じた。

今回の「新参者」は以前にドラマ化されていて大人気だったようだが、そちらは完全に見ていない為先入観無しで読むことができ凄く楽しめた。
ドラマ化は一長一短あるなというのもこの作品を読んでいる最中感じた事だった。CMや告知等でも情報は入ってきてしまう訳で、とりわけ原作を読んで感じたり考えたりしてる方が今の自分は楽しいと感じている。今回の「新参者」がまさにそれだったのではないか?と思っている。
よく原作の方が面白いとかいう話を聞いてきたが、そういう考え方ができるようになった自分が新参者なのか?なんて読後に感じていた。そんな意図はこの作品にはないだろうけど。

次の「麒麟の翼」、こちらはドラマ見た記憶があるのだがしっかりと原作として読んでみたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年1月14日
読了日 : 2024年1月14日
本棚登録日 : 2024年1月4日

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