蓮の数式 (中公文庫 と 33-1)

著者 :
  • 中央公論新社 (2018年1月23日発売)
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本棚登録 : 258
感想 : 40
5

凄い作品だった。

人間の厭らしい所と素晴らしい所が随所に散らばっていて考えさせられる事がいっぱいあった。

ストーリー背景は何故か昭和をイメージしてしまう。携帯電話とかネットとか出てくるのにも関わらず登場する人物達が何故かその雰囲気を醸しだしている。

ミステリーというよりは官能的であり文学的だと感じた。

「コンプレックス」がテーマになるだろうか?
各々のコンプレックスが積み上げられ、過去が継続して現在に至り、苦しみの中で更に苦しみを重ねる。
勿論希望もある。しかし希望に希望を重ねる事はしない、それをしてはいけないという抑止力がそうさせる。
弱さが顕著には出せず、理解の薄い人間関係の中で飲み込むしかないようにその弱さを溜める。そして苦しむ弱い者達が更に弱い者を苦しめる。なめあおうとしない。
究極の人間らしさなのかもしれないと感じた。

最後は投げかけられるような、問いかけられるかのような終焉。

まるで自分に言われているみたいな感覚を覚えた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年4月28日
読了日 : 2023年4月28日
本棚登録日 : 2023年4月19日

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