終わってほしくない夏を、「終わらせる」行為。
それがページをめくる僕らと、「UFOの夏」を駆ける浅羽の共通項に思う。
読む前は知らなかったが、セカイ系御三家と称されるビッグタイトルでその名に恥じぬ王道展開。
終点が明らかであるからこそ、かつての夏休みを追想する読者は、そこに至る道のりに失われてしまう/しまったもののノスタルジーを感じるのだろう。(この部分については冲方丁のサイトにある投稿感想が鮮やかに述べているhttp://lanopa.sakura.ne.jp/ubukata/index.html)
話の大枠はよくあるもので結末も容易に予想がつくが、じ徐々に詳らかにされる設定が浅羽と読者の首を真綿で締め上げていく。フィクションの飽和する時代において、「味変」したにすぎないような作品が濫造され、それを惰性のままに貪る中で、これらの緻密なプロットや軽快で情感豊かな文章には目の覚めるようであった。
王道なのに飽きさせない、読み進める手が止まらない、そんな作品でした。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年6月12日
- 読了日 : 2022年6月12日
- 本棚登録日 : 2022年6月12日
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