あきない世傳 金と銀(四) 貫流篇 (ハルキ文庫 た 19-18 時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所 (2017年8月9日発売)
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本棚登録 : 1948
感想 : 206
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めっちゃネタバレして書きます。
覚悟して先へお進みください。
ーー

五代目徳兵衛(惣次)の突如の失踪、離縁状、からの弟 智蔵への代送り(3巻までの内容)まで読み進め、
まさかの!
智蔵と幸の結婚!?
子どものころは仲がよく、智蔵が家を出るときに言った夢…『幸と夫婦になって別家を出せたら』
あの頃とは状況が変わりすぎてる、、
しかも三兄弟みんなに嫁ぐって…呆。
この時代であっても、ちょっとキモい…(心の声がダダ漏れ…)
それくらい肝の据わった人なんだな、幸は。ちょっと怖いわ。

14歳で初婚、17歳で次男に、21、2歳で三男に嫁ぐ…
3度目にして初めての白打掛。次男と夢見た浜羽二重、その織物でできた打掛は病床の富久が縫って仕仕立てたもの。
やっと五鈴屋を任せられると安心できたところで、富久の死…
富久と幸は血の繋がりはないけれど、確かな絆があった。富久が後に託したのは、誰でもない幸だった。
もうこの幸せからの別れの流れ、、読み進めるのに難儀した…

商才はないけど柔らかな人当たりの六代目徳兵衛(惣次)。
幸に人形遣いになって(惣次という)人形をうまいこと使って、と言ったとおり、幸は才覚を伸ばしていく。
揉めた江州の羽二重もなんとかまとまり、そこからまた新しいタネを拾い、大事にそだてて商いに繋げていく。
この人形浄瑠璃まで伏線になるのが驚き!

作中のどこからも惣次からはあふれんばかりの愛情を感じる。
でも幸からは感謝の気持ちはあれども、愛情が伝わってこない…
幸はご寮さんになると決めたとき、商いの武将になる!と覚悟して愛をどこかに閉じてしまったのか?

大好きな「みをつくし料理帖」と比べて、優しさと愛情でできている澪と、商いのことばかり考え自分を抑えるような幸は芯が図太く揺らぐことがない。慈悲の心をもった武将のよう。
私的には澪のほうが寄り添いたいと思え、作品への熱につながる。

4作目になり、幸が二十を超え登場人物たちも成長したり年老いたり。後進に譲る道、とはいうが、お世話になったあのお方まで?!
幸せに4巻を閉じられない〜、すぐに続きに手を伸ばす。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説 お気に入り
感想投稿日 : 2023年12月2日
読了日 : 2023年12月2日
本棚登録日 : 2023年12月1日

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