自分の子どもの様子を見て、自分が子どもの時と重なる。
これは実際に経験したことはないけれど、だけれど容易に想像することができた。
結婚して出産した小夜子。
結婚も出産もしなかった葵。
ふたりの関係と、子ども時代が交互に描かれる。
自分とは違う人生を送った「対岸」の相手は、自分とは違うものを持っていて「隣の芝は青い」状態で引き合う…のかと思っていたら、やはり他人の人生は「対岸」でしかないのだ。
周りの噂話やそのときの気分で勝手に相手の人生を想像する。妄想して決めつけて自分の中で完結する。
わかりあえそうなのに、なかなかわかりあえない。
それぞれ家庭に対して抱くそれぞれのモヤモヤがなんだか現実的だった。
それぞれ、いろいろあるものだ。
だけれど、人は人に出会って生きていく。
希望の光が差し始めた終わり方だったけれど、もうちょっと明るい気持ちになれる作品を読みたい気分だったのだと読後に感じた。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
文藝春秋
- 感想投稿日 : 2023年9月13日
- 読了日 : 2023年9月13日
- 本棚登録日 : 2023年9月13日
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