瀬尾さんの温かな小説の中で、この作品はある意味衝撃で、自分の中に残る作品。
そしてそれが最後だった
という言葉が、もうそれだけで、ぐわっと持っていかれる。
この家族はただでさえ父の自殺未遂という拭えされないものを持っている。その中でみんなどこかいびつこもしれないけど、おいしいもの食べたり、時にめちゃくちゃな食事をしてみたり、なんとかかんとか生きている。
そして主人公を支えていたのは何気ない大浦くんと過ごした日々。恋愛小説じゃないから、どこか淡々と、飄々と二人のやり取りは語られる。だからこそ失ったときの唐突さが妙にリアルなのだ。
安易な励ましや、すぐに元気になる方法なんてこの世にはないけど、また、なんとかかんとかやっていくしかない。食べたりなんだりしながら。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2022年9月11日
- 読了日 : 2022年7月12日
- 本棚登録日 : 2022年7月12日
みんなの感想をみる